内容説明
1975年2月、東ベルリンの〈壁〉に接した墓地で、少女の死体が発見される。現場に呼び出された刑事警察の女性班長ミュラー中尉は衝撃を受ける。少女の顔面は破壊され、歯もすべて失われていたのだ。しかも現場にはいち早く国家保安省(シュタージ)のイェーガー中佐が来ており、やがて異例のことながら事件の捜査がミュラーたちに命じられる。やはり背後には何かがあるのか? 彼女の捜査は、知らず知らずのうちに国家の闇に迫っていく……冷戦時代、鉄のカーテンの向こう側の事件を描いた傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほちょこ
36
知らざれぬ(私だけ?)ドイツ共和国。中国かと思った!フィクションとはいえ、著者あとがきにもあるように、事実を掘り下げた作品として、読んでおいてよかったと思える一冊だった。エンディングとしてはモヤモヤだけど。2018/07/23
ハスゴン
35
イギリス人が書いたドイツの舞台という変わった小説ですが、主人公が揺れ動く感じが次回作も期待! ドイツの分裂しているのをリアルに感じたりできました。2018/08/28
み
22
重かったものの、夢中で一気読み♪ドイツが2つだった頃が舞台。そんな状況だったんですね…、そんな前のことでないのに。本国では、何作かあるようなので、翻訳して欲しいです。読みたい♪2022/04/29
tom
16
旧東ドイツで刑事をしている女性が妙に面倒な時間を担当させられる。のた打ち回りながら、刑事としての節操を守るため、捜査を継続。そして、その結果、とんでもない裏切り行為を解き明かすという物語。まあ、刑事小説としては、中の下。展開としても、そうなのーというところ。少々の残念本。それでも、最期まで読み続けたのだから、そこそこなのかしら。2018/12/18
DEE
14
ベルリンがまだ東西に分かれいた頃の東側を舞台にした物語。 壁の近くで顔面を無残に破壊された少女の死体が見つかる。そしてその死体には状況を撹乱しようとした明らかな跡があった。 シュタージへの密告がはびこり、誰を信用していいか分からなかった時代。始まりから陰鬱な雰囲気で始まり、それほど大きな変化もないまま中盤へ。死体の身元の見当がつき始めていくにつれ、あまりにもふざけた時代と国家思想に胸が苦しくなってくる。 出てくる人間も一癖も二癖もある連中ばかり。 これはなかなかのイヤミスかも。2019/10/21