内容説明
19世紀半ば以降欧州・ロシア・中国などからの移民が急増したニューヨーク。とりわけマンハッタン南部のロウアー・イーストサイドには、安アパート(テネメント)に貧しい移民が集住した。その暮らしを当時まだ目新しかった写真を取り入れ活写したフォトジャーナリズムの古典を完訳。ニューヨーク市当局を動かし、ローズヴェルト第26代大統領には「最も理想に近いアメリカ市民」と評された、リース代表作の本邦初訳。図版多数。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
29
ニューヨークの移民の中でも、最下層の人々のルポルタージュ。最初に雑誌に掲載されたのが1889年である。イタリア移民、アイルランド移民、中国人移民、ボルジア人移民など彼らは集まって住む。その住居の足りなさ、悲惨な汚さ、一日中働きづめでも飢餓状態で、何年も英語を覚えられないなどの知的な質の低さ、などのルポルタージュ。見えてくる問題のひとつは家賃の高さ。家畜小屋よりひどい部屋でも、立派な家賃を取り立てる。最初はこれら貧困民に冷たい作者だなあ、と思って読んでいたが、訳文が硬過ぎてそう感じてしまったのだとわかった。2018/09/03