内容説明
紀貫之は「古今集」の重要な歌人かつ中心的な編者であり、「土左日記」の著者としても知られ、また「伊勢物語」の作者にも擬せられている人物である。しかし「下手な歌よみにて古今集はくだらぬ集」と正岡子規によって痛罵されて以来、つねにその言葉がつきまとい、正当な評価が妨げられてきた。はたしてそうだったのか? 本書は、詩人の魂による繊細な鑑賞によって「子規以来」のイメージを覆し、貫之が「フィクション」として豊かな才能に恵まれていたことや古今集の特徴である象徴と暗示を体現した歌人であったことなどを、精緻に論証していく。貫之の復権を成さしめた画期的歌人論。読売文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたなべよしお
21
大岡信さんは言葉の使い方が独特で、文章を読んでいるだけでも楽しかった。また、誰も傷つけずに批判せずに(例えば正岡子規)古今和歌集の復権を成し遂げてしまうのだからスゴイよね。この本を読んでも、やっぱり紀貫之は技巧に走りすぎているような気がするけど、それもちゃんと理由があったんだ。よく分かりました。いずれにしても、名著だと思います。2018/04/21
かふ
17
正岡子規に「下手な歌詠み」とdisられ、折口信夫からは土佐日記を女の真似をして日記を書いているが「全体的に、殺風景で、文学的なものではない」とまで言われてしまった紀貫之を大岡信がどのようにサルベージするのか興味津々ではないか?正岡子規が描いたのは、旧態然とした歌風(月並み)から改革、駄洒落や掛詞のような変化球ではなく、直球勝負の理屈ではない単純明快な「万葉調」や源実朝を引き立てている。以下、https://note.com/aoyadokari/n/n12b80b28fc522021/12/27
わたなべよしお
16
「菅原道真」を読んで、「紀貫之」「うたげと孤心」そして「菅原道真」が3部作といってもよいような作品群と知り、また読み返すことに。改めて、名著だと思いました。2024/09/20
はしめ
3
第3章がよかった。唐の詩人は波の底の月に棹をたて、舟を進める。そのイメージを受けた貫之は水底に空を感じ不安になる。紀貫之は詞書を含めての詩人なのだという。2020/05/11
kentaro mori
3
金字塔・道真万葉集から、「虚構」の貫之古今集へ。紀貫之論よりも、その合間に挟まれる日本文学論が面白い。堀江敏幸の解説により、大岡信の詩がいかに和歌から想を得ているかも知る。2018/05/02
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