ちくま文庫<br> 夢を食いつづけた男 ──おやじ徹誠一代記

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ちくま文庫
夢を食いつづけた男 ──おやじ徹誠一代記

  • ISBN:9784480434999

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内容説明

クレイジー・キャッツのメンバー、俳優の植木等が描く父の人生。息子から見ると「支離滅裂」というその人生は? 若い頃、義太夫語りを目指し、やがてキリスト教の洗礼を受けたと思ったら、後に浄土真宗の住職に。その間、社会主義者として労働運動や部落解放運動に身を投じる。治安維持法違反の嫌疑で繰り返し投獄されても平等と平和を求め続けた。名著、ついに復活!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

35
植木等さんの破天荒な父、徹誠さんの生涯を描いた本著。キリスト教の洗礼を受けた後、今度は浄土真宗の住職。社会主義者であり、治安維持法で何度も検挙された。それでも信念を曲げずに平等と平和を説き、労働運動や部落解放運動に尽力した。この親あってこその植木さんなんだな~。「わかっちゃいるけど、やめられない」というスーダラ節は親鸞の教えに通じるものがあると、語っていたのだとか。ホントにスケールのでかい親父さんですね。2018/02/22

makoto018

15
見巧者・小林信彦の「藤山寛美と植木等」で知り、ずっと読みたかった本。住職だった父の破天荒な生涯を植木等が描く。経歴を追うだけで破天荒。真珠で有名なミキモトの工場に勤めながら、義太夫語りを目指し、キリスト教の洗礼を受け、労働運動に走って社会主義者に。浄土真宗の寺の住職となってからは、部落解放運動に身を投じ、治安維持法違反で逮捕され、戦後も共産党入党から、60年安保デモに参加するまで。息子には平等から「等」と名づける。特に、スーダラ節を評した「わかっちゃいるけどやめられない。これは親鸞の教え」が最高だった。 2021/12/01

浅香山三郎

11
植木等さんが父親を語るテレビ番組(スーダラ節と親鸞思想の話)をみたり、小松政夫氏の自伝のドラマ化などで、何となく知つてゐたが、映像では具体的に言ひにくい部分も詳述され、大変面白い。ミキモトの職人から社会主義者・真宗の僧侶・部落開放の活動家といふ烈しい半生を描く。貧乏な寺の家族としては、警察にしばしば捕まり拘置される戸主といふのは、厄介だつたのだらうが、かういふ信念をもつた生き方をした人々の存在は、単に軍国主義一色では語れぬ、権力への抵抗の動きの存在をよく伝へてゐる。2022/07/16

冬佳彰

10
読んだのが昔すぎて、あまり内容を覚えていない。しかし、「スゴイ人だったんだな!」と感じ入ったことは覚えている。植木等さんの父親、植木徹誠さんの一代記。今更ながら調べてみると、キリスト教徒であり、僧侶であり、社会主義者であり、反戦主義者、部落解放運動にも関わっていた、と。戦時中は治安維持法で投獄もされていたらしい。おそらく、個々の運動云々というよりも、周囲で発生する腑に落ちない諸々に異議を唱え続けた人だったんだろうなあ。俺を含め、こういう巨大な人格はもう現れないんだろうか?

駄目男

8
全編、父徹之助に対する情愛に満ちた内容で、等は生涯を通じて父に逆らったことは一度もなかった。 なんだか微笑ましいというか切ないというか。 その徹之助が波乱に満ちた生涯を閉じたのは昭和53年2月19日、最後の言葉は。 「ありがとう、ありがとう、おかげで楽しい人生を送らせてもらった」 本書は再販に拠るものだが、息子に一代記として纏められたものが上梓されて親としては、さぞ嬉しかろうに。 しかし今は、その息子も旅立ち、世の移ろいは実に物悲しく読む者の心を打つ。 2018/05/14

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