内容説明
銀座の地下を流れる水路で、絵本を読み聞かせる美女に出会った少年の日。あれは全部、夢だったのか? 本を人生の友とする男の芳しき幻想譚(「地下水路の夜」)。死んだ少女に捧げる奇妙な言辞。そのリフレインが巻き起こす摩訶不思議な出来事とは(「朗読者」)。源氏物語、ギリシャ神話、夢十夜。短編の名手が古今東西の名作と共に、あなたを不思議な世界へと誘う。全ての本好き(ブッキッシュ)に贈る12の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
ハードカバーで読んで文庫での再読です。12の短編が収められていて、以前にも書きましたが、「朗読者」が一番この中では怖い印象がありました。そのほかこの表題作や「頭のよい木」「言葉の力」などが印象に残りました。阿刀田さんも年をとられて、日常の恐ろしさをうまく書いたものやエロティックな作品も少なくなりました。読む方も年をとりここに入っている作品が合うようになりました。2018/09/20
takaC
63
あれ?こんなに厚い内容だったっけと、まず最初に巻末の加筆・修正情報を確認しちゃったよ。文庫で阿刀田氏の新刊が出たら入手する習慣を30年以上続けてるけど、文庫本もずいぶん高くなったよな。これなんて税抜710円だぜ…2017/12/02
すきまどくしょ
9
★★☆☆☆ 阿刀田さんの本はこれが初読みです。他の作品はブラックユーモアが効いているらしいのですが、この作品はなんというか、ふわっとしてました。読み終わった後もスッキリしませんでした。2018/01/10
MIKETOM
8
これを上梓した時、阿刀田なんと80歳!執筆に捧げた人生をこのまま全うして欲しいと思う。本書は12編の短編集。感想はとりとめのない作品集って感じかな。源氏物語、ギリシャ神話、新約聖書、夢十夜などをモチーフにした作品もあれば、幻想譚もあり、過去に阿刀田が書いた作品を延長したような作品もあり、過去にエッセイで取り上げた事柄をネタにした作品もあり、晩年の自分が過去の自分を振り返ってとりとめもなく書き綴った作品集って感じ。阿刀田ファンならわかるだろうな。「いくさば足りもうさん」とか。本当に、このまま全うして欲しい。2018/08/11
topo
6
幻想的で不思議な12編短編集 全編セピア色の雰囲気漂いどこか懐かしい。昔ながらの喫茶店で常連のお爺さんの話を聞いているみたい。夢かうつつか。彼岸と此岸のゆるい交差を感じる。本を人生の友とする男の幻想譚(表題作)、言葉の持つ力を描いた「朗読者」「言葉の力」が好き。2019/07/07




