内容説明
「全能にして全知の存在から発射されるメッセージを電波として受信しているが妨害者の存在を知ったので殺害を実行したものであり――」盆栽が趣味のシングルマザー・知子が、アイドルに夢中の一人娘と少々お節介な父親とのんびり平和に暮らす稲岡市。しかし犯行声明のような怪文書と共に女子高生の撲殺死体が発見され、静かな地方都市を揺るがす騒動の幕があがる! 通り魔殺人事件が起こるたびに発見される電波系怪文書。被害者を繋ぐミッシング・リンクとは。巧みにはり巡らされた伏線と規格外の推理が冴える、第1回本格ミステリ大賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
62
第1回本格ミステリ大賞受賞作品上巻。本作はミステリとしては、たいへん珍しい構成をしている。連続殺人事件が起きるのだが、主人公たちは日常の生活の中で事件を知るのみで当事者にはならない。主人公知子はシングルマザー、父と娘と3人で地方の街に暮らしている。一つの章で、彼女たちの日常が普通に描かれており、次の章で被害者の行動が描かれ、最後に突然殴り殺されて終わるのだ。そして次の章で、主人公たちはニュースなどで、普通に殺人事件を知るというパターンを繰り返すのだ。いったい何処で繋がって行くのか、期待と不安を抱え下巻へ。2017/11/04
MATHILDA&LEON
30
第1回本格ミステリ大賞を受賞した本作。長閑な街で起こる奇怪な連続殺人事件に世間は騒つくが、主人公の知子は対岸の火事を見るような気分で過ごしている。のんびりとした知子たちと事件の温度差に驚くが、実際自分の身の回りで起きたら、こんなものなのだろうかと思う。物語の展開は①知子たちの日常②被害者の視点③何者かの1人語りと、興味を抱かせる流れになっている。また、知子の趣味が盆栽で、その蘊蓄が面白い。下巻への期待が高まる。2018/07/05
しましまこ
19
滅多に出ない倉知さんの新刊が出た!が、勿体なくてすぐには読めないのでお気に入りを再読。いきなり電波系の長~い怪文書で始まりワクワク。連続殺人が惨劇直前のそれぞれの被害者の様子、犯行後の電波怪文書、被害者のフィギュア作成手順(誰が作ってるの?)、主人公(30代シングルマザー、趣味は盆栽)の日常描写で語られる。探偵役は主人公の小中学の同級生、態度もルックスも間延びした感じの正太郎。日常の『おかしな物事』への珍妙な解釈が楽しい。娘のBL小説騒動から感動の『壺中の天』発言!全部が複線?2015/09/29
はんみみ
19
再再読。以前の分冊前ので読んだので、和子が「壺の中」を覗くのは前半だったのかとちょっと驚き。細かな部分はちゃんと記憶にあるのに私は今、確実に騙されている… (笑)2015/05/18
coco夏ko10角
16
感想は下巻で2017/06/04