内容説明
人類の誕生以来、最もポピュラーなギャグ=「バナナの皮すべり」は、いつ、どこで、誰によって、どうやって生みだされたのか? この素朴な疑問を解決するべく、マンガ、映画、文学作品、テレビ番組、ウェブサイトから、はては「実際にバナナの皮ですべった事件とその社会的背景」までを調べに調べつくす! 「バナナの皮」論のパイオニアにして決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
56
労作。バナナの皮といえば滑るもの。これは万古不易の鉄則であるわけだが、本書はその起源を求める旅路でもある。いや本当にその情報量が凄いんです。最近の漫画に登場するバナナの皮からお約束の法則に言及したり、明治大正から戦前に至るまでの文学に登場するバナナの皮に触れるかと思いきや、チャップリン始め三大喜劇王の世界に遊ぶ。普通ここまで話題を広げれば漫然とした読後感になるはずなのに、それが全てバナナの皮という縦糸に貫かれているためそういう感じは一切なし。バナナの皮は滑るけど、本書は滑ることなく一気に読まされました。2018/11/03
そうたそ
20
★★★☆☆ バナナの皮で滑って転ぶというベタで古典的なギャグのルーツを徹底的に調べ尽くした一冊。とにかく資料の幅の広さが凄まじく、よくもまあこれほど調べあげたものだと恐れ入るばかり。バナナの皮で滑るというギャグのルーツなんて別に知らずに死のうとも全く問題ないだろうが、敢えてそんな下らないとされることをとことん調べあげてしまうところに本書の面白さはあると思う。バナナの皮だけでなく、まきぐそだったり、マンガ肉だったりというベタとされる様々なものも少し取り上げられていて面白い。2020/02/05
きのこ
6
「卑近な笑いにすぎない『転ぶ』、そしてバナナの皮ギャグは、実は脆く危うい生の暗き一面を体現したものでもあったのである。」(p.31)2020/04/22
西澤 隆
5
バナナの皮ですべるという王道ギャグの起源をめぐるお話は今ならさっとググってバイラルメディアの1ネタとして消化されて終わり。それを徹底してやると、いろんなメディアの初出を拾うだけでなく映画や小説などでのバナナの取り扱われ方や19世紀の文化史、さらにバナナの皮そのものの研究に至るまで広範囲に網羅された本になる。さらに「読んでおなかいっぱい」ではなく、受けとった刺激をさらに向ける本、映画などいろんなものへの道筋、出典一覧から読み手はさらに「旅」を続けられる。知的な悪ふざけを徹底的にやるってのは、おもしろいなあ。2018/11/21
円盤人
3
「バナナの皮で滑るギャグの元祖は何/誰か」という謎に徹底的に挑む本だが、小説や漫画、短歌から絵本まであらゆる分野から用例を集め、時間を遡るのみならず、バナナとバナナの皮の文化史を紐解いていく。ひいては、ギャグとは、笑いとは何かにまで踏み込んでいくのだから恐れ入る。気軽に読めて読み応えのある良書であった。何より水声社から2010年に出たこの本が、外側の黄色い(!)ちくま文庫から再販されていること自体が、ユーモアが効いていて非常に良いと思う。2019/09/12
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