電撃文庫<br> 滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉

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電撃文庫
滅びの季節に《花》と《獣》は 〈下〉

  • ISBN:9784048937887

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内容説明

――それは、永久の別れなのか。
《天子》の襲来からスラガヤを護り抜いた末、《銀紋》の力を使い果たした二人。肉体は限界を迎え、《貪食の君》は深き眠りに就く。もう一度クロアを抱きしめたいという、淡く切なる願いと共に。
 独り取り残されたクロアは、朽ち滅びた地下街エルラムで、《銀紋》を持たない謎の集団に囚われていた。一方スラガヤでは、クロアを聖女の再来と謳うリリアン教が街の変革に動き出す。滅び行く世界の歩みは、もはや止める術もない。
 しかし二人に待ち受ける過酷な運命は、古き二つの記憶を呼び起こす。かつて一人の青年が手にした幸福と悔恨、一人の少女が残した想いと希望。その果てに、三百年の月日を超えた一つの奇蹟が蘇る。
 異形なる恋物語、その結末は。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

36
天子の襲来からスラガヤを護り抜いた末、力を使い果たした二人。貪食の君は深き眠りに就き、取り残されたクロアは朽ち滅びた地下街エルラムで謎の集団に囚われてしまう下巻。貪欲の君の代わりに目覚めたガファルによって明かされる過去の記憶と、人と大獣を巡る負の連鎖。それを断ち切ろうと立ち上がるクロアといくつもの想いが交錯する展開は、著者の思い描く異質な世界を表現する難しさも感じましたが、一方で弱さを乗り越えたそれぞれの想いの積み重ねがもたらした力と、それが幸せな結末へと繋がってゆく丁寧な描写は心に響くものがありました。2018/04/11

まりも

34
美しき大獣と天真爛漫な少女の異形なる恋物語の結末を描いた下巻。なんて素敵な物語なんだろう。滅びゆく世界を救ったのは、力ではなく愛。過去と現在の愛が結び、奇跡へと繋がる。繊細で丁寧な描写で描かれる想いの数々。どれもが言葉にならない程美しく、心を捉えて離さない。300年の月日を超えた想いが起こした一つの奇跡。その奇跡を目にした時、きっとこの作品の事が大好きになる。それくらい面白くて、これからも何度も何度も読み返したくなる1冊。訪れた幸福な日々を噛み締めながら余韻に浸りたい。本当にいいものを読んだ。2018/04/11

とめこ

18
めちゃくちゃ面白かった…。この壮大な物語を上下巻でまとめた作者さんが凄い。クロアと≪貪食の君≫の恋は、スラガヤの街はどうなるのかとドキドキしながら一気読みしてしまいました。恋愛とか家族愛とか、とにかく作中の「愛」の書き方が凄く良かった…好き。どうなるかと思ったけど人と大獣が一緒に笑い合える温かなラストを迎えることが出来て良かったです。貪食さんとクロアのイチャイチャも見れたのも嬉しい。こんなに素敵な物語が読めて幸せだ。それにしても作者さん、デビュー作に続き今回もえげつない液体を使った拷問をしているな…。2018/04/15

真白優樹

18
貪食の君が眠り、クロアが囚われる中、真のガファルが目を覚ましかつてが紐解かれる下巻たる今巻。あの日の真実、獣の真相。そこにあったのは一つの愛。かつての愛と今の2人の愛が現代と過去を結び、全てを繋げ世界を導く。絶望が迫る中に願う甘い理想。クロアは只管に願い、ガファルの願いを受け獣は目を覚ます。共に並び戦い、最後まで歩む二人。そんな2人に訪れる、かつての2人が齎す優しい奇跡。世界は多くを失い、変わらず続く。その中で信ず彼等だけの愛の形。その愛が幾度の滅びを越え続きますように。 これはそんな、愛と願いの御伽噺。2018/04/10

nishiyan

17
天子の襲来からスラガヤを守った末に銀紋の力を使い果たした二人。再び深い眠りについた貪食の君とクロアの前に300年前と17年前の因縁が立ちふさがる下巻。貪食の君とガファル、聖女リリアンとクロアの関係性が解き明かされていく過程は面白く、真っ直ぐなクロアの行動が対立していた人たちをまとめ上げていく姿は感動的だった。駆け足な展開なのは不満ではあるのだが、貪食の君とクロアの恋物語はハッピーエンドで終わるのは心地よい。課題が多く問題だらけ世界だが、この二人のように手をとって、お互いを想い合って歩めたら良いだろう。2021/01/22

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