岩波新書<br> 経済数学入門の入門

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岩波新書
経済数学入門の入門

  • 著者名:田中久稔
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2018/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317074

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内容説明

廉価になったコンピュータ,質・量ともに優れたデータにより,経済学の主流はいまや実証分析へと大きくシフトした.そこで,ますます重要なのが数学だ.「そうは言っても,実際,数学を勉強すると何の役に立つの? そこが知りたい」.本書はそう思う人に最適の本である.予備知識なしで読める,入門以前の「入門の入門」.

目次

目  次
   はじめに

 第1章 経済学と数学──なぜ数学を学ぶのか
  1 実証科学としての経済学
   理論分析と実証分析/なぜ数学を使うのか?
  2「数理経済学」の歴史
   クールノーの悲劇/レオン・ワルラス登場/サミュエルソン降臨
 第2章 一次関数──市場を数式で表現する
  1 因果関係を関数で表す
   言葉としての関数/近似表現としての関数
  2 需要関数と供給関数
   用語の確認/数式による表現
  3 需要曲線と供給曲線
   式とグラフと言葉で/需要曲線を描いてみる/価格はタテ軸に現れる
 第3章 二次関数──満腹と疲労
  1 便益関数と費用関数
    「便益」って何?/費用曲線
  2 二次関数による定式化
   便益関数と費用関数の定式化/便益曲線の作図法
 第4章 関数の微分──「この瞬間の、この感じ」
  1 限界便益と限界費用
   どうして食べ残してしまうのか?/どうして「限界」というのか?
  2 数学的な定義
   デルタ・イプシロン論法/現代数学の始まり
  3 需要関数と供給関数の導出
   最適な消費量を決定する/需要曲線を描く/計算で求める
 第5章 関数の最大化──山の頂で考える
  1 局所と大域
   遥かなる「大坂」/一階の条件/純便益と利潤/需要関数・供給関数を導く/クールノーによる独占の分析
  2 極大化の二階の条件
   極大を見分ける/テイラー展開
  3 関数の凹性と最大化
   凹関数/凹関数と二階の条件/市場の均衡
 第6章 多変数関数の最適化──ケーキとコーヒーの黄金比
  1 効用関数
   ケーキとコーヒー、鰻と梅干し/効用/効用関数/限界効用
  2 効用関数の最大化
   多変数関数の最大化/制約付きの最大化/ラグランジュの未定乗数決定法/効用関数の準凹性
  3 一般均衡
   マーシャル型需要関数/一般均衡の計算
 第7章 マクロ経済学と差分方程式──富める国、貧しい国
  1 ソローの成長モデル
   タンザニアの悲劇/生産の3要素/成長のサイクル/成長モデルの定式化
  2 経済成長の安定性
   経済成長の帰結/なぜ定常状態に向かうのか/定常状態の安定性
  3 最適成長理論
   貯蓄率はどう決まるのか/オイラー方程式
 第8章 動的計画法──失業者は関数方程式を解く
  1 自発的失業の理論
   経済学における「期待」/失業と期待/自発的失業の理論
  2 繰り返し代入法
   ベルマン方程式/繰り返し代入法/繰り返し計算の収束
   読書案内
   おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

100
岩波新書はこの頃、日経文庫の代替を果たす感じになっています。日経文庫が基礎的な学問分野の本の出版が少なくなり、その反面岩波新書が活躍です。「ミクロ経済学入門の入門」に続いての出版です。薄い小冊子ながら、かなり経済学の基礎的な部分というのが既習というレベルでないと理解が難しいのではないでしょうか?エッセンスを詰め込んでいる感じがします。ただ最後の読書案内はついており、そこでの本を補うようにすればいいということなのでしょう。2018/03/07

skunk_c

27
経済学、特に数量経済学で用いられる数学の基礎概念を、なるべく平易に解説しようとした書。前半のミクロの方は、一般的な需要関数、供給関数へのいくつかのアプローチを数学的に説明、そこから一般均衡理論へ繋いでいて、一般均衡の概念を理解する助けになった。一方マクロの方は、いきなり高度数学に入っている感じで、もう少し概念的な説明が欲しかった。そもそも経済数学を今後真剣に学ぶつもりがある訳ではなく、考え方を知りたかったので、かなり興味深く読めたが、やはり数学寄りなのと、理論の持つ問題点がよく見えないのは残念。2018/03/03

kk

25
この本、経済の入門書でもなければ数学の入門書でもありません。計量経済の世界で、どんな数学テクニックを活用することによってどんな知見が得られるか、そのサワリをさぁっと紹介するみたいな中身。出てくる数式の数々、超文系のkkにはチンプンカンプンのプンでした。入門の入門にすら入れない悲哀を噛み締めてみました。2021/04/09

ikedama99

18
職場の図書館で見つけて、一気読みをする。入門の入門というだけあって、数学の関わり合いが丁寧に記されている。微分が出てくる必然性などもわかる。数学的な内容で、デルタ・イプシロン論法やラグランジェの未定乗数決定法などもこのように示されると考えやすい。(数学では、イプシロン・デルタだと思うが)コラムの内容は興味深かった。コブ=ダグラス型効用関数は納得できる感じがした。最後の読書案内はとてもよい。数学も知りたいが経済学も知りたくなってくる・・という思いを持った。2020/03/04

Francis

14
一日で読み終えた。経済セミナーで論文を読むときは論文中の数字や式を読み飛ばして読んでいるのだが、数式の持つ意味がある程度理解できた。本当に理解するためには入門書を読み、ワークブックで問題を解かないとダメなのだろう。それでもこの本を読んでよかったと思う。2021/01/31

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