岩波文庫<br> ヨブ記講演

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岩波文庫
ヨブ記講演

  • 著者名:内村鑑三
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 岩波書店(2018/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003815113

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内容説明

罪のない人になぜ災いがふりかかるのか,なぜ神は黙しているのか――最も深遠な問いを人間に投げかける旧約聖書「ヨブ記」を,内村は「実に個人的なるが故にまた普遍的」な「魂の実験録」ととらえた.神に向かって叫ぶ人ヨブの物語に寄り添い,徹底的に「読む」ことによって蘇らせる,血のかよった講演録.(注・解説=鈴木範久)

目次

目  次

 第一講 ヨブ記はいかなる書であるか

 第二講 ヨブの平生と彼に臨みし患難

 第三講 ヨブの哀哭

 第四講 老友エリパズまず語る

 第五講 ヨブ再び口を啓く

 第六講 神学者ビルダデ語る

 第七講 ヨブ仲保者を要求す

 第八講 ヨブ愛の神に訴う

 第九講 神智の探索

 第十講 再生の欲求

 第十一講 エリパズ再び語る

 第十二講 ヨブ答う 終に仲保者を見る(上)

 第十三講 ヨブ答う 終に仲保者を見る(下)

 第十四講 ビルダデ再び語る

 第十五講 ヨブ終に贖主を認む

 第十六講 ゾパル再び語る

 第十七講 ヨブの見神(一)

 第十八講 ヨブの見神(二)

 第十九講 ヨブの見神(三)

 第二十講 ヨブの見神(四)

 第二十一講 ヨブの終末
   解 説(鈴木範久)
   注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

72
キリスト教に対する内村鑑三の考え方がよく分かります。ヨブ記を「個人的で普遍的な魂の実録書」と捉えているのが興味深いところでした。信心深いヨブの受け続ける苦難を描いたヨブ記に、何故罪のない人に災いが降りかかり、何故神は黙しているのかを考察しています。神を疑いたくなるような物語から慰めと大きな信仰を感じとることのできる内村の考えには賛同するところが多々ありました。内村の考える宗教論を交えながら解き明かすヨブ記。そこには物語に寄り添う姿すら見える気がしました。2016/04/28

syaori

60
内村鑑三による『ヨブ記』講演録。作者は人生の苦難、危機に際して何度もヨブ記に触れていたそうですが、この講演録からも彼がヨブの痛苦・懊悩を自分のものとしてヨブ記に接してきたことが窺われます。それだけに、その苦悩のなかから紡がれた言葉には宗教や信条を超えて訴えてくる力がありました。教条主義に陥って友を責めることの愚や人生の苦難・煩悶の意味、そして愛。愛なくして人は救われないこと、愛のない訓戒は憎しみを生むばかりであること。「人はなぜ艱難に際するか」、この普遍的な問いに対する作者の希望と信念を感じる一冊でした。2018/10/29

おさむ

33
信仰も厚く行いも正しい人が何故苦しむのか。自らも艱難辛苦の人生だった内村鑑三にとってヨブ記は慰めの書でもありました。悲痛な経験を嘗めて自己が砕かれて、自己が新しくなり、天地万有を見る目が一変する。患難を失望ではなく希望に変える。「日本のヨブ」ともいわれる内村のような強い心を持ちたいものです。2016/06/04

しんすけ

25
どうにか読み終えた。 まだまだ不明な箇所が多いのだが、内村鑑三がこの講演を行った気持が少しは分ったような気はしている。 思い出を辿ると、楽しいことよりも苦しいことや悲しいことばかりが思いこされる。 今では大半の人がそうではないのかとさえ思っている。 ぼくは信仰深い人間ではない。無神論者といってもいい。 そんなぼくだが宗教が自殺を禁じている意味が、最近ようやく分かってきたような気がする。 遠い昔に子どもを失い(死産)、二年前には妻と死別したとき、何度死のうと思っただろうか。だが死ねなかった。2022/08/07

壱萬弐仟縁

25
ヨブの生涯は完全。富足り、家栄え、家訓行われ、敬神の念盛なりというべき有様(19頁)。現代は少子化、地方消滅が囁かれる始末。ヨブは自殺しようとは思わなかった。聖書は徹頭徹尾自殺を否認(33頁)。人生の沙漠に生命の水を求めつつあったヨブは、たまたま三友の来訪に接して、カラバンが遥かに渓川を望見せし如くに感じた(50頁)。人として活きんためには、是非とも信仰を保持せるままにて難問題の解決に当らなければならない。ここに困難、苦悶懊悩(おうのう)が生まれる(56頁)。我らの学ぶべきは愛である。 2014/12/27

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