内容説明
『ドリトル先生』や『ジキル博士とハイド氏』のモデルにして近代外科医学の父ハンターは、群を抜いた奇人であった。遺体の盗掘や売買、膨大な標本……その波瀾の生涯を描く傑作!山形浩生解説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
58
規格外エピソードの数々に目を剥くも、その人生はマッドというよりも勤勉。いやむしろマッドに勤勉と言えよう。一生にこれだと思えるものに出会えた人は幸福だ。そして現代医療を享受できる我々も幸福。2017/07/27
はちてん
42
タイトルのダサさに反してとんでもない面白さ。ハンター邸がジキルとハイド、頓狂にも動物を集めに集めたことからドリトル先生のモデルになったともいわれているらしい。個人的には皆川博子の「開かせていただき…」もハンターをモデルにしていると確信。18世紀の閉鎖的な医学界の革命児であったことと、実験やら解剖やら狂を思わせる精力的行動といい魅了された。エピソード集なのだが物語はいらない面白さ。治療費のエピソードなどブラックジャックみたいだ。2015/06/01
hope
39
★★★★★ うわー、面白かったぁ。奇人の偉人のこの方は、ダニエル先生のモデル。そう、『開かせていただき光栄です』のあの先生。検死の正当性を叫ぶ近代医学の父であり、ダーウィンの60年以上前に進化論を唱えた異端者。堕落と暴力とセックスが渦巻く18世紀ロンドンでの解剖教室。現代からみるとオカルトのような医療現場は、麻酔も消毒薬もなく足を切断したり、医学は無知であった。彼は4人の子供を設けたが、幼年期を生き延びたのは二人。優れた外科医の子供ですらそんな状態の時代。→2019/04/24
ぷらった
36
1年半前に読みました。これはマジで凄いです。何がスゴイかというと・・・こういう科学者がいたんだ,医学にはこういう時代があったんだ,という揺さぶられるような驚きです。ハンターは,所属階級を超え,倫理の物差しがあてられることもない時代にいて,真に科学知への到達能力に秀でたのだと思います。英国の夜の街で,死体の取り合いが繰り広げられていた,なんてびっくりです。翻訳も苦労しただろうに,秀逸です。おかげでどんどん読めました。科学史好きの方には必読書としておススメですが,高校生くらいの若い人が読むにも良いと思います。2017/01/22
kasim
33
とんでもなく面白かった。外科を内科と同じ地位に高めた奇人で、ジェンナーの師匠というのは知っていたが、これほど多面的で魅力的な人だったとは。死体盗掘と解剖だけではなく、ロンドンで豹を飼い、初の人工受精や異種移植を行い、後進の育成に注力し、地質学やミツバチも研究、進化論まで唱える。博物学の時代の天才で、すべては生命そのものへの興味から。一見がさつでも、貧しい患者には親身、弟子たちには柔和、社交界の花形で才媛の妻には愛される。人見知りでも論争する時は激烈。恩人であり反目相手ともなった兄との微妙な関係も心を打つ。2025/06/20
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