内容説明
心の痛みに効く、とびっきりのカフェご飯!
東京の出版社をやめ、百合が原高原にカフェを開業した奈穂。
かつてペンションブームに沸いたが、今はやや寂びれ気味の高原にやってきたのは、離婚を承諾しないモラハラの夫に耐えかね、自分の生活を変えるためだった。
そんな背水の陣ではじめた奈穂のカフェには、さまざまな人が訪れる──。
離れた娘を思う父、農家の嫁に疲れた女性、昔の恋に思いを残した経済アドバイザー……。
「ひよこ牧場」のバターやソーセージ、「あおぞらベーカリー」の天然酵母のパンや地元の有機野菜など、滋味溢れる食材で作られた美味しいご飯は、そんな人々に、悩みや痛みに立ち向かう力を与えれくれる。
奈穂のご飯が奇跡を起こす6つの物語。
ジューシーなチキンのコンフィとモミジイチゴをのせたベビーリーフサラダ/
高原野菜と鶏肉のチーズクリームシチュー/特製さくさくベーコンサンド
/“男前な口どけ”のイチゴ入り泡雪羹/5種類のお豆のカレー/
蕪と水菜と胡桃のサラダ/百合根のポタージュ/薔薇のシロップに漬けたくずきり…etc.
女性を主人公に多くのベストセラーを輩出してきた著者が、自らレシピを試して「絶対においしいものだけ」がぎっしり詰まった連作集は、読者に栄養をたっぷり届けます。
解説は漫画家の野間美由紀さん。
──人間の心の機微の中にはいつも謎が隠れている。そんな謎を優しい目線で描いたこの小説も、紛れもなく上質なミステリーなのである。(解説より)
料理研究家の高山かづえさんが作る高原カフェレシピも特別収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
480
なんて美味しそうなタイトル。舞台の高原は、あの辺かしら、それともあっち?ふむふむ、初読み作家さんだな、ググってみよう→へー、意外に年配な方なのね。そして大学の先輩であらせられるか。割合に多作で、もともとはミステリー出身。他にどんな作品あるんだろう→読メチェック→2冊半(「半」は、アンソロ)既読でした←【読メもの忘れ部】2019/03/12
しんごろ
260
高原に移住して、カフェをオープンした菜穂を中心とした話。人それぞれ悩みがありますよね。この話では、田舎で住む辛さ、商売していく上でのこれからの将来の不安、夫婦、恋家族の悩み…。その悩みを相談できる人がいるという事は、羨ましいし素敵です。主人公の菜穂もいろいろ悩みと不安を抱えてますが、カフェを通して強くなっていく姿が良かったです。それから、出てくる料理が美味しそう。とくにベーコンサンド!食べたくなるわ。読んでる最中にレシピと調理法をメモったら、終わりにレシピがあった(笑)心地のよく優しさ溢れる作品でした。2019/02/10
じいじ
125
結婚10年。夫との確執から逃れて、高原の小さなペンションを改装してカフェを開店。人生の再生に挑むお話。ところどころで、上手く行き過ぎる感はあるが、心安らぐ読み心地が良い小説で気に入りました。美味しそうな料理に、生唾を飲み込むことしきり。料理って奥が深いんだと痛感させられました。ベーコンサンドも嫌いではないが、主人公の作るチキンコンフィはぜひとも賞味したくなった。柴田よしきは2作目ですが、別作品も読んでみたくなりました。2019/01/29
ゆのん
114
『高原カフェ』という言葉に惹かれて即購入。フンワリ、ほのぼのという感じだったら嫌だなぁと思いながら読み始めてみると、確かに素敵な土地で素敵なカフェを開き料理も美味しそう。ただ、モラハラや事故や自殺で子供を亡くした人、家庭が崩壊し子供と別れた人など心に傷を負っている人々が出てくる。それでも生きていかなければ、暮らしていかなければならない。ゆっくり少しづつ傷を癒しながら頑張る、そんな物語だった。2018/05/01
あすなろ
113
以前より読みたいと思っていた作品。とある高原で、レストランやカフェやペンションを会社勤めに終止符を打ち、転じたいと旅先等で考えることは誰しもふと考えること。しかし、それは当然の如く容易ではないことが伺い知れる。そして、地方ならではの地縁や狭き世界という側面や商売であるという厳しさもある。そんなことを柴田氏は優しい筆致で百合が丘高原をロケーションに描き込むシリーズ。次作もあるということで引き続き読んでみたいと読了後思う。そして、表題ともなっているベーコンサンドとそれを取り巻く複数のエピソードがいい。2021/01/17