日本経済新聞出版<br> ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益

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日本経済新聞出版
ダーウィン・エコノミー 自由、競争、公益

  • ISBN:9784532357696

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内容説明

■昔のほうが、生活は豊かだった。社会の中間層には経済的活力があり、社会インフラはきちんとメンテナンスされていた。だが、その後何十年にもわたって経済成長率は大きく鈍り、中間層の時間当たり賃金は減少する一方で、CEOの賃金は10倍になった。富の格差は広がる一方だ。

■「経済学の父」とされるアダム・スミスは、自由な市場はすべての人にとっての最善を生み出すと考えた。だが、現実世界を見回すとスミスの「見えざる手」が機能していないように思える。むしろ、ダーウィンが観察したように、個々の動物の利益と、種としての大きな利益は深刻に対立している。

■このダーウィンの観察を、経済に応用したら、どんな世界が見えるだろうか。個人の利益と、社会全体の利益は、どうやってバランスさせればよいのだろうか。格差、教育、公共投資、貧困といった諸問題に対し、人気経済学者が解決策を提示する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Toshi53162606

6
進化論の観点から経済学を分析するロバート・H・フランクの名著。 内容としては、消費・貯蓄・投資・軍拡競争・環境保護などのあらゆる面において、いくら個人が合理的に行動したとしても、全体としては最悪の結末になることをダーウィンの洞察や経済学の集合行為問題の観点から述べたもの。 そうした「合成の誤謬」や「共有地の悲劇」が生じるのは相対的な優位性が重要である場面で生じ、それらを防ぐために、累進消費税やピグー税を始めとする課税対策で個人のインセンティブを変えることが有効であるという事実を示している。2022/04/06

ttt

2
神の見えざる手はたびたび機能しない。合成の誤謬が発生し、個人の利益と集団の利益が乖離するから。そもそもアダムスミス自体「神の見えざる手があるから大丈夫」という楽観主義でなく「商人の利己的な行動が社会に恩恵をもたらすことも多いんだ」くらいの慎重な主張だったが彼の弟子がそれを過大解釈した。JSミル「個人の自由を制限することは、それによって他人に危害が及ぶのを防ぐことができる場合にのみ正当である」。消費行動は背景に左右されるのに、伝統的な経済モデルは背景を考慮しない。背景に影響をうける地位財・受けない非地位財2018/07/27

Hidekazu Asai

1
行動経済医学者・ロバート・H・フランクによるリバタニアン批判。 この本で、ジェームズ・スチュワート・ミルの良さを初めて知る。2018/10/01

aby

1
小さな政府を望み、税負担は個人の自由を阻害するものと主張するリバタリアンを批判している。政府が税などの歳入から公共事業に投資することは社会全体に有益な場合が多い。富裕層にとっても公共事業を抑制してデコボコな道路を高級車で走るよりも、整備された道路を普通車で走るほうが快適で豊かなのではないか?とのこと。2018/08/05

hide

1
他者の所有物との相対的優劣で価値が決まる地位財(住宅・ブランド品)の概念と、僅かな能力の差が大きな所得の差につながる経済状況から、累進課税の有用性を説明する章が興味深かった。2018/05/16

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