内容説明
行き過ぎた市場原理主義、国民を過酷な競争に駆り立てるグローバル化の波、
排外的なナショナリストたちの跋扈、改憲派の危険な動き……
未曾有の国難に対し、わたしたちはどう処すべきなのか?
脱グローバリズム、贈与経済への回帰、
連帯の作法から「廃県置藩」論まで、
日本の未来を憂うウチダ先生が説く、国を揺るがす危機への備え方。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ito
46
著者が感じている憂国について、グローバル経済、政治、教育、格差社会等、様々な視点から熱い言葉で論じている。日本が直面している国難について、重要なキーワードを網羅し訴えかける。あとがきにあるように自分の功績を誇示しない「アンサング・ヒーロー」のような生き方は今の日本社会には合わないのだろう。皆が自慢しあうのがデフォルトにも思える。それでもリスク社会に生きる我々にとっては重要な視点である。日ごろ、私が感じている疑問や不満について、ソリューションを提供してもらえたような読後満足感があった。2014/04/23
万葉語り
38
近代資本主義には限界があって、未来世代の可能性を潰しかねない。誰にも知られないけれど、他人のために行動するアンサングヒーローには単体で現状を変える力はないけれど、誰もが倫理観を持てばこの国も少しは住みやすくなるのではないかというおとぎ話。内田先生の話がおとぎ話に聞こえるこの国の未来は本当にどうなるのだろうと思った。2022‐1112022/11/05
ねこさん
32
特に富裕層や、その恩恵を近しいところから受ける人の言説に「生きていることに感謝する」的な言葉を聞く機会がある。説明しがたい気持ち悪さ、欺瞞の臭いを感じていたがその構造理解ができたように思う。日常に満足できないのは、その心のあり方も含めて自己が招いたもの、つまりよく言われる「自己責任」と言う考え方と、「足ることを知るものは富む」という老子の考え方は似て非なるもの、小義を掲げ無欲を装うタルチュフ的言説でしかない。詐術が横行する社会で、暗澹たる気分に飲み込まれないように生きる手がかりが提示されている本だと思う。2018/04/30
ゆり
31
『街場の憂国論』は、日本の思想家・内田樹による評論集で、「街場=日常生活の現場」という視点から出発し、日本の政治、教育、経済、メディア、国家アイデンティティなどの課題を探っています。 内田は平易でわかりやすく、批判的な語り口で、グローバル化、少子化、価値観の混乱、政治への無関心の中で日本社会が直面している危機を分析し、「国家はどのような未来に向かうべきか」を考察しています。 本書は抽象的な国家論を人々の日常に引き戻し、現実的でありながら哲学的な視点を持つ観察を提示しています2025/10/13
marco
23
TPPやグローバル化について訳知り顔で中2の息子に話したら、興味深げに耳を傾けてくれた。すべて内田センセの受け売りである。さすがは内田センセ(笑)。多くの人が目先のことしか考えられなくなっている昨今、思考における射程の長さ、大事ですよね。2013/10/18
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