内容説明
トップになって二日目に舞台事故で亡くなった50年前の伝説の男役スター・扇乙矢。以後、大劇場の奈落に棲みつく宝塚の守護神ファントムさんとして語り継がれてきた。大劇場では月組トップスター如月すみれのサヨナラ公演の幕が開き、その新人公演の主役に大抜擢された永遠ひかるの前にあらわれた奇跡とは―。男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切ない恋愛幻想譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
45
初めての作家。宝塚歌劇は一応守備範囲。「ヅカ調」って言葉があって独特の台詞回しは好きと嫌いの区別がハッキリと分かれる、と言われたものだが、多分今でもそうなのだろう。「ベルばら」ブームの頃オスカル:安奈淳版を実見。序でにレコードも買って主題歌と見せ場のセリフは今でも再生可能。でもファンでは無い。小生的には、あれは親子三代くらい重ねないと名乗ってはいけない気がする。小説の題材としては芸道物、学園物、オカルトとか気前よく盛り込んであって景気がいい。熱に浮かされた様な描写が「らしい」のだが、そこまで。続く2019/03/01
エドワード
42
前に読んだ「娘役」より先の作品。宝塚歌劇を真正面から描いた作品。「男役は時として本物の男よりも男らしく、どこまでも優しく娘役を守り、大きく全てを包み込み、何があろうと愛し抜く。ただその美学のみによって存在する。」何と素晴らしい。若い女性が男役を演じる、世界に唯一の演劇空間。その虚構性によって、夢を与え続ける、奇跡の舞台だ。宝塚の舞台を踏んだ祖母と孫、50年の時を超えて受け継がれる舞台への情熱。事故死した男役がファントムとなり、死に瀕する相手役を迎えて昇天するストーリー自体が、実に宝塚的なファンタジーだ。2020/04/14
坂城 弥生
39
男性よりも男らしい宝塚の男役。素敵でした。2023/03/29
はっち
22
初読み作家さんです 奇しくもこの前に読んだのが梨園を描いた国宝 少し演劇付いてます こちらも演劇ものとはいえ宝塚という特別な世界 以前一度だけ観劇したことがありますがハマってしまうのも頷けます 亡霊とか物騒な言葉が出てくるのでもっとおどろおどろしたものかと思いましたが才能と努力の賜物の世界 宝塚の厳しいレッスンに耐えたものだけが登ることが許されるステージ ひととき夢の舞台に酔いしれました2019/03/05
冬見
22
トップ就任後二日目に舞台事故で亡くなった伝説の男役は、宝塚の守護神ファントムとなり大劇場の奈落に棲みついていた。表現の一つ一つが艶かしく、まるで血を噴き出すかのような切実さと生々しさに「ああこれが中山可穂だ」と、深く息を吐いた。王寺ミチルシリーズと現代能楽集シリーズの合いの子のような作品。強いスポットライトが当たる世界には、それと同じくらい濃い影が落ちているのかもしれない。レオンとナッツが自転車に乗るシーンは爽やかな解放感があって、甘酸っぱい幸福に思わず微笑んでいた。2018/04/11
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