美の起源 アートの行動生物学

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美の起源 アートの行動生物学

  • ISBN:9784320009103

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内容説明

筆者はこれまで,サカナから鳥類,哺乳類まで多様な動物を使って数々の動物実験を行ってきた。それらの実験で得られたデータをもとに,人間の作り出した芸術作品を動物がどのように認知し,どのような場合に好むのかを解説する。また,動物実験のみならず,実証的美学研究の歴史と現在の研究動向,脳画像を駆使して美を捉える神経美学についても取り上げ,さまざまな側面から美の起源を探る。

この本は悪く言えば「興味本位」,よくいえば「真理探究型」の研究を扱っている。「役に立つ」研究ばかりでなく真理探究型の研究の重要性,面白さを生き生きと伝えながら,美の起源として進化を考える立場の最前線をわかりやすく紹介する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

taku

13
美術、美メロ、美人、と美は好きでも美学にはあまり触れたことがなかった。比較認知科学の研究結果による考察が中心。動物の巣作り、鳴き声のアート性であったり、動物で視覚、聴覚の弁別実験を行い、人間の美術や音楽をどのように捉えられるかなど、これはこれで実に興味深い。人間の「いい声」を弁別するか実験して欲しい。「人間のことを知るためには人間のことだけ研究していてはダメで、他の動物と比較することで初めて人間の特性がわかる」2020/11/20

センケイ (線形)

4
美には適応的な意味があるだろうか?と素朴に感じていたところに、この本の存在は有難い。鳥や哺乳類が少なくとも制作や区別において図画や歌における能力があること、そして人間の美的感覚がどのように生起してきたかが、読み物としても楽しめるトーンで突き詰められていく。美の機能的な意義自体は惜しくもこの本単独ではわからず、今後の研究が期待されるが、少なくともサバンナのような絵を人間が好むこと、類人猿でも絵には内発的動機がありそうである点からは、その意義における大きな示唆を得たと思う。2018/02/12

takao

3
ふむ2024/03/30

ひとえ

3
面白い。 "美しい"の定義や定量・定性的な解明が初めにある。"美"を表すものとして絵画や音楽に触れ、その起源について多角的に解明する試みがあると紹介および簡単な説明が続く。筆者の考えについてはネタバレになるから秘密。 "鳥に向けた歌"をつくる研究は興味深い。最初の一言はなんだろうか。2017/02/16

Book shelf

2
美は主観的なものだが、誰もが美しいと感じる一定のラインはあるはずだ。それが本当に存在するのか?人間以外の動物にも美しさを感じることはあるのか?そういった難しいテーマに視覚や聴覚実験を行い、傾向を見出す内容は興味深い。人間以外の動物にも美を認識する知能があるなら人類発祥の、考古学的痕跡が残りにくい時代から人類にも備わっていたのかもしれない。2024/01/17

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