内容説明
江戸の町を舞台にした本格的ミステリー! 二転三転する驚愕の展開、鮮やかな謎解きに唸る!! 老舗の呉服店を襲った、ひとり息子のかどわかし。その奇妙な謎に、狂言作者が挑む――表題作「影踏み鬼」(第22回小説推理新人賞受賞作)ほか、全五編を収録。うち「奈落闇恋乃道行」は、第54回日本推理作家協会賞・短編部門の候補となった。明治初年にいたるまで、該博な知識とともに当時の情景を活写し、人間の業を浮き彫りにしたスリリングな傑作が、満を持して復刻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
139
ため息しか出ない、一冊。うん、読み友さん達のレビュー、お言葉通り、これは読ませてくれる時代ミステリだった。一話目の表題作からいきなり心つかまれる。ねじれた関係、真相には感嘆のため息しか出なかった。二話目の「血みどろ絵」の真相はもちろん、ラストの一文にもため息吐息。この一文に凝縮されたような思いが心を揺さぶる、この感じが良かった。「虫酸」の裏側に隠された真相にも驚きと共にせつなさのため息吐息。扉のそのまた向こうに隠された小さな扉…開ければため息と予想外のものを味わえる、そんな作品。2020/10/02
セウテス
88
【作者デビュー作品】江戸から明治を舞台にした、5つの短編集。人の業と欲を前面に、終盤全く違う趣を見せる本作は紛れもなくミステリである。タイトルの「影踏み鬼」は、酒問屋の孫が誘拐され、身代金はいつの間にか鉛に代わり子供は戻らない。やがて店は潰れる中の、様々な人間模様に怖さや切なさを感じる。作中の人物と同じ様に、私も徹夜までして考え続けた。伏線から真相を推理していくというよりは、説明された物語の抜け落ちた部分を、どう解釈したら辻褄が合うのか考える感じだ。最後まで、オチが分からない作り込みは見事としか言えない。2021/03/15
aquamarine
83
江戸末期、市井のありきたりの人々が、ただ身の丈の生活をすることがどれだけ大変であったのか思い知る。そんな中でも人は捨て身の恋に身を焦がし、金や恨みのために人間であることをやめ…。ホラーと言っても差し支えないほどの人間の心の痛々しさをうっかり自分の中に取り込んでしまったら最後、暗闇や匂いまで感じながら、キリキリと締め上げられる苦痛に耐えて読み進めるしかない。こんなにがっちりつかまれるのに、ラストには翻弄され、これが紛れもないミステリであることを思い知る。そんな短編が5つ。選べないほどどれも良かった。大満足。2020/10/22
papako
83
作者の受賞作を含んだ、明治に近い江戸末期が舞台の短編集。これはすごい!面白かった!濃いので、読み飛ばせない。じっくり読まされました。ホラー小説のような雰囲気と独特の語り口ですが、紛れもなくミステリー。必ず最後に謎が解かれ、全く違う様相を見せてくれます。女と男の一筋縄ではいかない心情が、ねっとりとまとわりつくような物語。なかなか拾い物でした。2020/09/07
タイ子
80
5つの短編集。明治に近い江戸の町が舞台。このどんでん返しは面白い。推理の上を行く結末は驚きというより上手い!と言いたくなる。男と女の愛憎劇が恐ろしくも、切なく、ぞわりとする程の恋模様を読ませてくれます。中にはそんなにひねらなくてもいいのにと思う作品もあるけど、最後まで読むとそうでないとこの物語は終わらないんだと思わせるところもすごい。特に「血みどろの絵」のラストが好き。面白い小説を教えてくれてありがとう、読み友さん♪2020/02/01
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