内容説明
止まらない北朝鮮の暴走、米トランプ政権から受ける強い圧力……。国内の権力基盤を盤石にした習近平政権は、中華帝国再興、世界覇権の掌握の野望を隠そうともしない。だが、その眼前には、国内外で数々の難題、難敵が待ち受ける。
2035年――。習近平が「現代化された社会主義強国」の実現を国家目標とするが、その裏には、どのようなメッセージが織り込まれているのか。
現実になりつつある核戦争リスク、政敵排除で「独裁化」が進む習政権が孕む危険など、中国が主要プレーヤーとなっている国際情勢の動向について、ボーン・上田賞記者が独自の取材にもとづき鮮烈に描く骨太ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
21
反腐敗運動と称して、政敵である軍部等の最上層幹部280人以上と140万の官僚を処分して、中国の実権を握った習近平氏、その経緯と今後を予測する書。氏の目標は、2035年まで自らの権力を維持しつつ、中国を世界一の強国にすることだと言う。果たして氏の思う通り進むか注目ですが、米中貿易戦争等、現在の中国を巡る国際情勢の背景を知るためには一読しておいて損はない。世界に類を見ない監視社会を実現しつつある中国の実態や、北朝鮮の張成沢処刑の内幕にもビックリ。2018/08/25
Hatann
3
2017年10月の党大会における習近平の演説にて、2035年までに現代化された社会主義国を構築するという構想が提示され、最も革新的な国のひとつとして、都市部と農村部の所得格差の大幅縮小、環境問題の解消を目指すとされた。この微妙な年代設定が自身の寿命を意識したものであることは否定できないところ。本著では、北朝鮮を含めた外交面における足元の課題が述べられる。本著が公刊された直後に金正恩の電撃訪中や米中間の関税戦争が発生しているが、2035年といわず、現在の東アジアの政治情勢を理解する上でも読みごたえがある。2018/04/08
あまたあるほし
3
ディープ差が群を抜いている。つまらない反中国本を読むより、こういうきちんとした書籍で、しっかりと中国を恐れる必要がある。2018/03/25
ぶいしーてん
2
ナマモノ。お早めに2018/04/09
お抹茶
1
習近平と胡錦濤派の苛烈な政争や中国を愚弄する北朝鮮との関係,対米・対日関係の内幕を克明に記す。反腐敗運動の司令塔で盟友の王岐山を中心にして,ポスト習近平の有力候補である胡春華の最高司令部入りを防ぎ,政敵を失脚させ,側近を主要ポストに抜擢する。北朝鮮との「同盟関係」は実質的に破綻し,金正恩は挑発を続ける。米朝戦争の危機もあり,極めて厄介。対日強硬派・江沢民の息がかかった薄熙来や郭伯雄の影響下にあった集団軍は再編され,習は軍内のタカ派を掌握。紅二代をバックに持つ富豪を摘発し,言論・情報の統制を強める。2019/01/12




