内容説明
日本食店勤務のため、北朝鮮に渡った「私」は、金正日の宴席の料理を担当することになる。そして、やがて金正日本人から「10年間、私のそばにいてほしい」といわれ、専属料理人となった。唯一の日本人側近として金正日の至近距離ですごした著者による全記録。“知られざる金正日と朝鮮労働党幹部の素顔と実態”がわかる、衝撃のノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
30
金正日の料理人―間近で見た独裁者の素顔。藤本健二先生の著書。北朝鮮の最大権力者であった金正日の専属料理人であった藤本健二先生ならではの視点で描かれた金正日の実像。権力者=傲慢不遜で攻撃的で我儘三昧の人間というレッテルを貼ってしまいがちだけれど、人間らしさ、人間的魅力を持つ素顔の金正日が垣間見える内容でした。2018/10/18
臓物ちゃん
8
80年代の北朝鮮に寿司屋を開店するためホイホイと平壌にやって来た著者は、偶然にも金正日に気に入られたことにより側近に抜擢!国民がガチで飢えて死んでる間にも美味いもんジャンジャン喰いまくるわプールやゴルフで遊びまくるわ超美人の奥さんが当たるわと、北朝鮮ものなのに悲惨な話が全く出てこない異世界無双ものかってくらいウハウハに著者が成功しまくるので悪いけど読んでて「早く粛清されろッ!」と思った一冊。酔っ払って寝てる間に金正日のイタズラで陰毛をツルツルにされた日本人って激レアさんの度がすぎるぜ。2021/06/13
西澤 隆
6
たぶんみなさんとは全然ちがう感想だと思うのだけれど、僕が本書から感じたのは「承認欲求というのは強い感情なのだなあ」ということ。藤本さんは繰り返し繰り返し、自分の技術を金正日が褒めてくれたこと、認めてくれたことを語る。金正日を通して「私は特別な存在なのだ」と実感することを繰り返しながら、いわば「承認欲求の麻薬」に浸っていく様子の記録のように思える。料理人の世界は名人達人が山のようにいる世界。一生懸命技術を磨き誠実な仕事をしてもこんな風に認められることはないもんなあ。今どうされているのだろう。せめてお元気で。2020/03/20
yesod
3
北朝鮮の米はおいしいということに驚きました。また寿司を握るのに高級すぎて合わず、日本の米で作り直したというくだりがあって、寿司飯は最上のお米が合うのでもないのだなと別のことで驚いたりしました。金正日氏については気さくな一面は垣間見た気がしましたが、素顔や国のことまではよくわかりませんでした。2012/08/18
ジョナサン
2
これが本当なら、すごいものを見てしまったという感じ…。著者の藤本氏の生き様というか、波乱万丈すぎてドキドキしました。テレビなどで見る不気味な独裁国家というよりも、藤本氏の純粋な姿勢が評価されたり、料理やプライベートを通して金正日氏と心を通わせたりと、北朝鮮のまた違った一面を見ました。政治の事はよくわかりませんが、この本を読んで…なんか良かったです。2011/12/26