内容説明
イラク反戦デモを尻目に、渋谷のラブホで4泊5日──表題作(第49回岸田國士戯曲賞受賞)のほか、2篇(「マリファナの害について」「労苦の終わり」)を収録。
「登場人物たちの話す内容が微妙にズレながら進む展開も、背筋がゾクゾクするほどおもしろく、〔中略〕遠くの虐殺よりも目の前の性行為の方が重要という人間の業のようなものが浮かび上がってくるところに凄味がありました」(井上ひさし氏選評より)。
「そこに描かれている世界はまさに青春のすべてではなかろうかと私は思ったのだ。〔中略〕いずれもが過不足のない的確な言葉で語られる」(岩松了氏選評より)。
「岡田氏は、出会ったことのない才能である。いよいよ出てきたというべき才能かもしれない。或いは、どこに隠れていたのよ、というべき才能。〔中略〕応援します」(野田秀樹氏選評より)。
チェルフィッチュこと、超リアル日本語演劇の旗手によるデビュー作品集。声に出して読みたい誘惑あふれる「語り」を、ご堪能あれ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
九鳥
18
図書館本。数年前に、岸田國士戯曲賞受賞後の再演を見に六本木のライブハウスへ足を運んだ。「こういうシーンをやります」と身も蓋もない説明に、反復を重ねる展開、役者と一対にならない登場人物、何より痙攣に似た口語の台詞と役者の所作に、どこまでが作為なのか戸惑ったのを強烈に覚えている。戯曲を読んで一部種明かしができた。演劇それ自体に対する意識の高さを感じる劇作。2009/08/10
りえこ
12
会話文なので、ものすごく長くて少し読みにくかった。やはり、舞台で見るものだなと思ったけど、この感じわかるなーと思いながら、楽しく読みました。2013/05/02
kuukazoo
8
『ブロッコリー・レボリューション』が面白かったので本棚にあった初期作品の戯曲を引っ張り出してきて何年ぶりかで再読。ざっくりな印象だがたぶん方法論的にはずっと一貫しているのかなと思った。俳優は役を演じるというより主に誰かについての出来事を「語る」ことで劇が進行していく。スタイルとしては落語に似ていると今更な発見。2022/09/26
うりぼう
7
奥野師範のオススメ。マリファナの害について、柳原加奈子の女の子そのままです。三月の五日間、ライブとラブホとデモ、どこへもいけない者たち。労苦の終り、「富士の白雪朝日にとける、今朝の雑煮は煮てとける、夫婦喧嘩は寝てとける」意味の判る話はこれだけ。二股とバツ一。谷崎潤一郎を先日読む、長々と続く文体が似ているが、あまりに対照的で、凄すぎ。2009/11/12
いくっち@読書リハビリ中
7
芝居自体を観ていないのに、こんなにも岡田作品に恋するように、読んでも、答えが返ってこないっていうか、「それじゃ、三月の5日間っていうのをはじめようって思うんですけど」とか、「っていう新婚の今泉くんの話を、労苦の終わりってことで今回はやりまーす。」っていう選手宣誓みたいなのとか、繰り返したり、同じ役者が違う配役をコロコロ変えたり、うーんなんだかもう、戯曲の続きのように文章を書いていておかしくなってきたよわたし、もう。続。2009/09/11
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