内容説明
いじめ、うわさ、夏休みのお泊まり旅行…お決まりの日常から逃れるために、それぞれの少女たちが試みた、ささやかな反乱。生きることになれていない不器用なまでの切実さを直木賞作家が描く傑作青春小説集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
519
タイトル通り、小学生から高校生、「学校」の真っ只中にいる彼女たちの物語。子ども目線の小説が個人的に苦手なため『学校ごっこ』は特に苦戦したが、最後まで読んでよかった。少女たちの危うさ、ずるさ、それでいて繊細な部分がよく描かれている。誰もがいちどは通った道。いじめ(という名の立派な犯罪)のシーンでは、辛くて読めない読者もいるのでは。2022/03/10
さてさて
164
『だれかがすごい力でどんどん背中を押していって、でも押されてる私は、ちょっとタンマって思ってるの』。そんな思いの中に儚く過ぎ去っていく学校時代。この作品には小学校、中学校、そして高校を舞台にした四つの短編が収録されていました。新装刊と時代表現のない文章によって古さを感じさせないこの作品。『いじめ』る側視点で描かれる『いじめ』の場面に胸が苦しくなるこの作品。“お決まりの日常から逃れるため、それぞれの少女達が試みたささやかな反乱”という内容紹介の一文に、なるほどねと納得する角田さんの上手さを感じる作品でした。2025/10/02
chiru
96
集合体をおさめる学校という箱の中で、焦燥や虚無感の吹溜りに飲みこまれる小中高の少女たちの短編集。 熱をもった傷口をさらに掻きまわすような、角田さんらしい容赦のない結末が、かえって『嵐をやり過ごす強さ』を際立たせてる気がする。 人生に『簡単なこと』なんてどこにもないのは、残酷でもあるけど、可能性でもあるというメッセージが伝わってくる作品。 現役の少女たちが読んだ感想を聞きたいなって思った。 ★4 2018/05/14
chimako
88
どの話も生々しすぎてよほどメンタルがしっかりした時でないと嫌な気分で終わりそうだ。特に三編目までは。自殺に憧れる現実逃避も、いじめたい衝動も、イメージに取り込まれていく不気味さも、軽薄にしか見えない高校最後の夏休みも共感できるところはひとつもなく書名とのギャップにおろおろしているうちに読み終えてしまう。四半世紀以上前の小説はこんなに辛辣だったのか。いじめは不気味。飛ばし読みでも嫌なものがせりあがってくる。2022/05/11
aoringo
86
思春期の彼女たちの物語。短編が四つ。続きが気になるところで終わるのだけど、それが絶妙。大人でも子供でもない、人として未熟で不安定な子供たち。心の闇を覗き込んだような読後感だった。やっぱり角田さんは人間の心に引っ掛かった暗闇を切り取るのが上手いな。遠くになってしまったあの頃。どの話も面白かった。2019/10/12




