内容説明
俺の夢は、メディアの制覇だ──。終戦直後の日本。若き新聞記者、渋沢はある船舶事故に遭遇。一人生き延びた彼は、事故をめぐる重大な秘密と引き換えに、出世の階段を登り始める。時は移り、現代。IT企業の社長、芦野は電子書籍ビジネスに目を付けた。そのコンテンツ獲得のために、今や極東グループの会長となった渋沢に接触を試みる。時代を予言する衝撃のエンタテインメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
33
電子書籍の波が怒涛のように押し寄せ、世界の趨勢に日本丸が身を震わせつつ・・といった状況が展開される。上巻は半分が戦前、後半は 現在が設定。渋沢なる人物が大木の如く屹立し、鳩レースの少年新原の義理の息子、亮輔が後半を引っ張る。これって・・モデルは?とゲスイな推測。正力?渡部?いやいや、個人的に云えば戦後の日本(新聞・マスコミ・情報・出版等)をけん引した男どものエッセンスを凝縮した人かと感じた。楡氏作品はとても読み易く、伏線の張り方も収め方も無理がなく、引き込まれるとは云えずとも細切れの読書方法でも楽しめる。2014/07/10
James Hayashi
26
著者らしく電子書籍のハードウェアとコンテンツを見据えたストーリー。10年程前の作品でありアマゾンキンドル(07年〜)に対抗し、日本でも新たな開発と販売を狙うIT企業と、バンドルとして日本のメディア王との連携を望む。アマゾンが行った様に、赤字でもハードを売り込み将来的なマーケットを築き王国の建設を望む野心的な男。また老獪ながら新たなメディアを我がモノへと越し淡々と狙う独裁者の2人の行く末は?下巻へ。2020/03/11
シュラフ
11
副題の"電子書籍"に目がいって手に取った本。下巻をまだ読んでないのでなんともいえないが、物語の舞台が新聞社、ラジオ局、そしてテレビ局のメディアとなっており、その仕組みが分かり、そこそこ読ませてくれる。本筋からははずれるが、日本の新聞社では戦後まもなくまでは原稿や写真フィルムの運搬手段として伝書鳩が活用されていたということにびっくり。なんと鳩は時速80~90㌔で飛び、北海道から東京まではひと晩で来たというのだからまたびっくり。新聞社のある大手町近辺を伝書鳩が飛び回っていたなど考えるだけでおかしくなってくる。2014/01/17
よっしー
9
★3・5 思っていたより壮大なストーリー。戦後のマスメディアにはネタがいっぱいありそうで期待できそう。2016/05/14
rikako
5
現代の話より、戦後の話の方が面白い。連絡船事故が最後にどのようにかかわってくるかが楽しみ。下巻へ。2013/09/04
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