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内容説明
1977年77歳の著者が七夜にわたって行った七つのテーマ――「神曲」「悪夢」「千一夜物語」「仏教」「詩について」「カバラ」「盲目について」――による講演.ボルヘスという謎,その秘密をそっと打ち明ける,格好のボルヘス入門.「悪くない.さんざん私に付きまとってきたテーマに関して,この本は,どうやら私の遺言書になりそうだ」
目次
目 次
第一夜 神 曲
第二夜 悪 夢
第三夜 千一夜物語
第四夜 仏 教
第五夜 詩について
第六夜 カバラ
第七夜 盲目について
エピローグ
訳者あとがき
訳 注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
92
こんなに豊かな世界が拡がっているよ!と伝えずにはいられないボルヘスの熱い語りを直に聴いているような講演録。「語るボルヘス」もそうだった。“神曲”“悪夢”“詩“”千一夜物語“…の七つの世界に誘ってくれる。訳では、ですます調の穏やかなでも時に畳み掛けるような語り口で。そして「第七夜盲目について」を読むと”七つの夜”と盲人の光のない世界に繋がっているという想定が短絡的であったと思い知る。その境遇を通じて知り得た世界を彼は賜物という言葉で表現する。実は第一夜から第六夜も見えていなかった新しい光を見せてくれていた。2018/07/16
syaori
62
七七歳のボルヘスが行った七夜の講演録。彼が語るのは私たちが見落としている美しい世界について。『神曲』や『千一夜物語』の豊かさ、詩やカバラが教えてくれる美や可能性ついて。各夜のテーマは夢や記憶という細い糸でつながっていて、それをたどってボルヘスの夢をわたっているよう。講演は最後の「盲目について」で舞台の上で語るボルヘス自身に戻り閉じられるのですが、同時にこの夜は豊かに、永遠に続いているようにも思われます。そしてそれは、これが作者がその「文学的な運命」のなかから紡ぎ出した「もの」だからなのだろうと思いました。2018/10/23
内島菫
48
各夜の冒頭の言葉「紳士、淑女のみなさま」に大いに心をくすぐられた私としては、英訳、仏訳のように削除されなくてよかったと思う。ピタゴラスが何も書き残さなかったのはテクストに束縛されたくなかったからだろうとボルヘスは予想していて、ピタゴラスの弟子が自分の説をピタゴラスの説であるかのように付け足して教えを刷新できるのだということも述べている。また、千一夜物語には原語版には存在しない物語があり、それは初めての仏訳であるガラン版から現れるといい、その行為を他の人が捏造とみても、2017/09/27
jahmatsu
37
ボルヘスによる7夜の講演集。ずっと聞いていたくなるような記憶と想像のボルヘスワールドにドップリ浸かる。やはり感心させられるのは、記憶もだが知識量。自分的には仏教への解釈が興味深かった。そして最後に盲目を自ら語るあたりはグッとくる、これはある意味、哲学書。2020/03/15
スプーン
36
(後半4編を読んで) 文学を顕微鏡で見、そこに永遠の宇宙を見出すボルヘス。 まさしく博学にして狂気、唯一無二の詩人。2020/10/03