内容説明
幕末維新期には、日本人同士が殺し合い、多くの血が流されました。おのおのが大義を掲げ、あるいは武士としての矜持から、刃を向けたということなのでしょう。とりわけ、要人の暗殺事件は、歴史を大きく動かすことになりました。現代において、暗殺は決して肯定されるものではありませんが、歴史小説のテーマとしてはとても魅力的です。
作家集団「操觚の会」に集う7人が、7つの暗殺事件を題材に、大胆な想像力と推理を駆使して作品を書き下ろしました。いずれの事件も謎に満ち、真犯人についても諸説ある、作家としての創作意欲をかき立てるものばかりです。はたして、どのような展開と結末が待っているのか!? 幕末史の暗部に真っ向勝負を挑んだ、粒揃いの作品をご堪能ください。
谷津矢車 竹とんぼの群青 ◆桜田門外の変
早見 俊 刺客 伊藤博文 ◆塙忠宝暗殺
新美 健 欺きの士道 ◆清河八郎暗殺
鈴木英治 血腥き風 ◆佐久間象山暗殺
誉田龍一 天が遣わせし男 ◆坂本龍馬暗殺
秋山香乃 裏切り者 ◆油小路の変
神家正成 明治の石 ◆孝明天皇毒殺
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
158
歴史時代小説界に『操觚の会』が出来たそうだ。その面々による第一回目は幕末の暗殺を題材のアンソロジー。流石に幕末、暗殺のネタは溢れるのだろう。どれもその場に居るかのような気にさせてくれる。好みは様々だろうが今回『刺客 伊藤博文』『血腥き風』『裏切り者』あたりが好きだった。女性作家の『アミの会(仮』』と言い、なかなか面白いアンソロジーが読める楽しみが出来たように思う。次も楽しみにしたい。2018/02/13
ポチ
70
操觚(そうこ)の会のメンバーによる、7話のアンソロジー。「血腥き風」「裏切り者」が特に良かったかな。今後、どんな歴史に題材を取った作品を送り出してくれるのか楽しみです。2018/02/22
真理そら
62
七人の作家による幕末の七人の暗殺話。早見俊、鈴木英治などの幕末暗殺物が珍しい気がして楽しく読めた。特に早見さんは伊藤博文の暗殺というある種デリケートなテーマだったのでお得感?があった。またこういうアンソロジーを読みたいと思った。2019/10/14
ASnowyHeron
34
”暗殺”というテーマの短編集、おもしろく読めた。7人の作家がそれぞれのテーマで作品を書き上げていてるのに、根底には統一感があって、なかなか心憎い編集だと感じた。2018/04/15
かいゆう
28
7人の作家のアンソロジー。少しずつ被ってるので繋がっているようにも読める。これまでも触れてきたことのある暗殺の場面を、暗殺者側から見てなかなか興味深かった。特に斎藤一。何とも複雑な間者の立場でありながら、藤堂や土方と向かい合う姿を見ていると、この人の物語をもっと読みたいと思った。孝明天皇の死の疑惑も知らなかった。龍馬だけはこんなに簡単に書かれているのは本当に残念。どれも捉える対象は興味深いのだが、ちょっと文章的には物足りない。もっと心情的な深さがあってほしかったなと思った。2021/06/12