内容説明
ずっと、透明になってしまいたかった。 でも本当は「ここにいるよ」って言いたかった―― いじめに遭っている少女・耀子、居所のない思いを抱え過去の思い出の中にだけ生きている未亡人・照子、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しむ少年・立海。 三人の出会いが、それぞれの人生を少しずつ動かし始める。 言葉にならない祈りを掬い取る、温かく、強く、やさしい物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
354
これは誰の物語だろうか? 耀子と立海、心と心で繋がってくふたりの絆の物語だろうか。亡き夫を胸に抱き、常夏荘のおあんさんとして生きていく照子の物語かもしれない。それとも耀子の祖父と父親の物語だろうか。いいえ、きっとこれは撫子、星の形をした花の物語、なでし子の物語。宝物のような言葉やエピソードがちりばめられた、不器用だけれど優しい大人と子どもたちの物語。「自立、かおを上げて生きること。自律、うつくしく生きること、あたらしいじぶんをつくること。」家庭教師の青井の言葉が印象的。匂い立つ名作の薫りただよう傑作。2013/02/26
yoshida
332
人生は理不尽でままならない。大人も子供もそれぞれの境遇や状況がある。それでも人生は続き、日々を生きてゆく。ならば、どう生きるか。この作品にはそういった理不尽な人生を生きるうえでの、様々な指針が示される。「どうして」と嘆くより、「どうしたら」と戦う人生。理不尽にぶつかれば逃げずに乗り越える。耀子と立海。境遇は違えど、理不尽にあってきた状況は共通している。二人が周りの大人の言葉で、逃げずに生きる姿を身に付け大きく成長する。耀子、立海、照子、前を向く彼等の姿に感動する。月並みな表現だが、心に響く素晴らしい作品。2017/12/20
文庫フリーク@灯れ松明の火
218
伊吹さん。こいつは是非とも続編やらまいか。一冊で終わらせるには勿体なさ過ぎる。私には、登場人物たちが、まだまだ動き足りない・語りたいと全力で訴えているように感じてしまう。二人の子供・耀子と立海が主人公と思えば、おあんさんこと照子・家庭教師の青井・耀子祖父の勇吉と、主役を喰う魅力的な脇役陣。祖父・勇吉の語る峰生の民話「星の娘っこ」で言えば、耀子はやっと美しい紐を織り始めようとする段階。立海も天に届くような美しい木を育て始めた状況。照子と龍一郎の後を継ぐ、撫子組二代目は物語の端を発したばかり。→続く2013/03/19
のり
203
耀子・立海・照子にとって、峯生の常夏荘は己を維持、再生する特別な場所。それぞれ心身に影をもつが、互いの存在により、癒し癒され路が拓けていく…絶対的存在の権力者(親父様)の影響が身勝手過ぎるし、子は所有物ではない。無力の子達の成長を促した青井先生やジィジ、常夏荘の人々に、一読者としてありがとうと言いたい。撫子の咲き乱れる様も目にしたい。 2018/08/02
紫綺
203
気が付くと涙の粒がふくらんでいた。二人の子供たちの純粋さな健気さに心打たれた。周りの大人たちの懐深さや優しさに心打たれた。「自立、かおをあげていきること。自律、うつくしくいきること。」文中の言葉のように、胸を張って生きていこう!2013/02/10
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