講談社学術文庫<br> 国家の神話

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講談社学術文庫
国家の神話

  • ISBN:9784062924610

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内容説明

『認識問題』、『シンボル形式の哲学』などの大著を完成したエルンスト・カッシーラー(1874-1945年)が、ナチスが台頭し、第2次世界大戦に向かっていく状況の中、最晩年に至ってついに手がけた記念碑的著作。国家という神話は、どのようにして成立し、機能するようになるのか。独自の象徴(シンボル)理論に基づき、古代ギリシアから中世を経て現代にまで及ぶ壮大なスケールで描き出される唯一無二の思想的ドラマ!

目次

第一部 神話とは何か
第一章 神話的思惟の構造
第二章 神話と言語
第三章 神話と情動の心理学
第四章 人間の社会生活における神話の機能
第二部 政治学説史における神話にたいする闘争
第五章 初期ギリシア哲学における《ロゴス》と《ミュトス》
第六章 プラトンの『国家』
第七章 中世国家理論の宗教的および形而上学的背景
第八章 中世哲学における法治国家の理論
第九章 中世哲学における自然と恩寵
第十章 マキャヴェッリの新しい政治学
第十一章 マキャヴェッリ主義の勝利とその帰結
第十二章 新しい国家理論の意味
第十三章 ストア主義の再生と《自然法》的国家理論
第十四章 啓蒙哲学とそのロマン主義的批判者
第三部 二十世紀の神話
第十五章 準 備:カーライル
第十六章 英雄崇拝から人種崇拝へ
第十七章 ヘーゲル
第十八章 現代の政治的神話の技術
結 語
訳 註
訳者解説
学術文庫版訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

12
ファシズムが席巻する時代に亡命した著者が、国家と政治を歴史的に批判検討する本書は、神話と理性が対話するギリシャから始まる。哲学では弁証法と呼ばれる対話は、著者にはプラトンやカントの無限で法外な神話的想像力を他なるものとして区別する終わりない弁証法理性である(マキャベリの現実的区別も含む)。一方、ヘーゲルの弁証法は前2者の感性と理念の区別を乗り越える客観的精神の具現化を国家に見出すための弁証法として区別される。本書では、後者の具現化が神話と理性の境界を曖昧にし、国家と政治を神話化してファシズムを生むとした。2019/04/29

Orange

3
地上権力の源泉の推移を、神話時代から20世紀まで考察。ナチス政権下においては人間理性が敗北した時期であったのか。「絶望的な状況においては、人間はつねに絶望的な手段に訴えるであろう」「理性がわれわれを見捨てた場合には、つねに残されているのは最後の議論、すなわち奇蹟的な、神秘的なものの力である」p478 のくだりはゾクッとくる。それは21世紀のこの文明の時代にあっても、神話的恣意の力を利用した全体主義が、なんらかのキッカケさえあれば、いとも容易く復活する可能性を指摘しているから。あーやだやだ。2018/11/25

フリウリ

2
文化や歴史の相対化や差別を考えるために。凄まじい本。●ストア派による人間の根本的平等という考え方が、中世キリスト教思想に受け継がれ、やがて自然法および自然法的国家理論の基礎となる。●19世紀初頭ドイツロマン派。形而上学的唯心論から唯物論へ。マキャベリズムの復権。●カーライル。英雄崇拝から白色人種崇拝へ。●ヘーゲル。英雄崇拝から国家崇拝、「世界精神の代行者」たる民族崇拝へ。帝国主義とファシズムへ。●以上のアウトラインは内容のごく一部。●19世紀以降の展開は日本も同じであろう。10/102022/06/26

asanosatonoko

2
難しかった…。読みやすい文章ではない上に、読む上で前提として知っておいた方がいい古今の思想家たちの主張、論点の把握がほとんどできていない状態での理解はほぼ不可能。あと100冊くらい読んでからまた読もう。2018/04/13

R

1
近代国家の成立前,王権を中心とした国家は存在理由として神話が必要であった。近代国家成立後も民主主義の勢力が弱まると神話の力が強まることになる。各時代の政治学を取り上げて神話と不可分だった時代から徐々に分化していく様子が述べられている。2019/04/23

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