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内容説明
お笑い芸人はなぜ面白い一言を言えるか? 彼ら自身も言語化できないように、お笑いは暗黙の身体知である。プロから一般人まで、人はふとクリエイティブなことをやってのける。そのメカニズムは未解明だが、身体とことばを上手に共存させて発想することが、クリエイティブの源である。日常生活において、体感にしかと向き合って着眼と解釈を行い、なんでも試してみるマインドを持つことが、いまよりもクリエイティブになる秘訣である。それは現在のAIにはまだとても難しいことである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
29
なるほど、納得。これは現場の役に立つ本だな。◇オリジナリティのあるアイデアやデザインをどうすれば生み出せるのか、そのメカニズムに迫る。見出されたのは、身体を使って体験し、それを言葉にしていくという行動原理。企画百本ノックだったり、場所をかえてのブレストだったり、ウチの現場で口伝されてきた方法も自分でジンクス的に生み出してきた手法も、確かにそうだ。こうやって記述してくれると再現がめざせる。ヒットを継続的に生み出せる職場って、それが文化としてしみついてるんだろうな。◇組織外での学習もだな。◇味の表現、すごい。2018/03/31
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15
強い棋士や面白い芸人は、スキーマ(行為の引き出し)を瞬時に選び抜くための「身体の没入」と言うべきセンス(直感?)を持っている。入力されたデータの「生成と検証」が逐一必要なAIよりも、人間の脳はそこが優れている。AIがディープラーニングを駆使し、大量のデータから特徴を顕在化させたとしても、それを活用する為には人間の「クリエイティビティ」が必要だ▼…な~んて固いこと言ってますけど、要はこれからは、大喜利で上手いこと言える人の時代なんだな!頑張ろう(笑)!2018/06/21
またの名
10
究極のところ意識的にコントロールできない無意識過程から生じる、という通常の分析では結局ブラックボックスのままの創造性。これを身体が発露させる臨機応変な思考フレームからの逸脱だと仮定して、お笑い芸人の技量まで参照しつつ論じるけど、読者を自然と笑いに誘う域には達してないので無理に芸人っぽくしなくても大丈夫(すべり芸疑惑)。ネット利用者とくに読メ住人にとって興味をそそられるのは、言語による体感の分節化を実践してみたという報告。読メのように味覚のレビューを行い続けたところ感覚が変化したそうで、読書にも通じる議論。2018/05/13
ゆうみょる
6
毎日同じ道で駅に行き、同じ電車に乗り、同じ人たちと会い、私たちの思考回路は固まっていく。身体が同じ物事にしか反応できなくなる、つまり身体が固まるのだ。 しかし、同じ道を歩いても、実は、昨日身体が受けた信号と今日受けた信号は異なる。天気も違うし、体調も違う。身体がどんな「体感」を得ているかに耳を澄ませてみると昨日と今日の体感は微妙に違うことに気づく。すると、固まっていた身体が解きほぐされていく。 「身体の発露で、発想する」には、日々、周りの微細な変化に体感レベルで気づけるかどうかにかかっているようだ。
Nozaki Shinichiro
4
クリエイティブな行為には身体が必要不可欠では?という本。AIにできることできないことがちゃんと説明されていて、すごく納得しました。思考が枠(フレーム)にはまらないことが全てかなと思います。そして、やっぱり現場なり現物に(身体を使って)ちゃんと向き合うことが創造力の源泉になるんちゃうかな~と。勇気づけられると共に、内容的にもとても興味深い内容でした!2018/06/06