内容説明
暴帝ネロの自殺後、ローマ帝国に泥沼の内乱が勃発した。各地の総督がその配下の軍隊に担がれて、次々と皇帝となったのである。紀元69年1月1日、ゲルマニア軍のウィテッリウスは、ヒスパニア総督であった元首ガルバに叛旗を翻す。アレクサンドリア軍からは、ウェスパシアヌスが皇帝として奉戴されていた。その結果、多くの市民の血が流れ、三人の皇帝が斃れた。そこには、人間の欲望が絡みあい、殺戮、陰謀、裏切りなど、凄まじい政争が繰り広げられた。本書は、希代の歴史家タキトゥスが、この同時代の壮大な歴史ドラマを、臨場感溢れる雄渾な筆致で記録したローマ史の大古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホームズ
21
ネロの死からガルバ、オト、ウイテッリウス、ウェスパシアヌスと3人の皇帝たちの争いの1年間。1年間ですが色んな事件が起き混乱していますね。内乱の状態が酷い。皇帝たちや指揮官たちが自分の意思というより兵士たちの暴発を恐れて行動しているのが驚き。兵士たちも戦いと言うより略奪目的の強盗集団のようで・・・。オトはイメージ的に自堕落な皇帝って感じがしていましたが最後が潔かったのが意外。この本や『ローマ帝国衰亡史』や『ローマ皇帝伝』のような歴史の本は手元に置いておきたいな~(笑)2012/11/27
富士さん
5
敵のみならず、味方の問題点も容赦なく糾弾し、敗者のみならず勝者の醜態も書き記すのは公平と言えば公平で、批判精神と言えば批判精神かもしれません。でも、人の弱さを許さず、生き残るための喘ぎを裁くタキトゥス大先生は何様なんだろうと思わざるを得ません。その点國原さんのあとがきは激しく賛同しました。若いころはこんな青臭い正義感が輝かしく見えるものですが、経験を積んで来るともう少し人に優しくなれないものかと思ってしまいます。ただ、これだけ批判しても揺らがないほど。当時のローマは安定していたということなのでしょう。2018/03/10
Francis
5
ローマの歴史家タキトゥスがネロ自殺後のガルバからドミティアヌスまでの皇帝たちの治世を記したもの。と言っても大半は失われてしまい、いわゆる四皇帝の年、内乱状態だった西暦69年の記述が中心。各地で軍隊の反乱が相次ぎ、規律や秩序が失われたことに対するタキトゥスの批判は厳しい。人間の醜さをこれでもか、これでもか、と暴きたてている。たった一年の記述でもこれだけ厳しいのだから、暴君ドミティアヌスに対する批判はどれほど厳しかったのだろうか。彼の治世の巻が失われたのはまことに残念。他に5巻のユダヤ民族に対する記述が興味深2014/02/01
feodor
5
AD69年のたった1年を描いたものしか残っていないらしいのだけれども、なかなかに濃密な1年間。ガルバ、オト、ウィテリウスと3人の皇帝が斃れ、ウェスパシアヌスによるフラウィウス朝の成立までが描かれている。謹厳な老帝ガルバの惨殺、食べてばっかりの愚帝ウィテリウスも屠殺されるかのような殺され方、対して後継者として外されたことからガルバとその養子ピソを殺害して皇帝に登位したオトはそれでも最期だけは英雄的に自殺が描かれている。同時期に東のユダヤの反乱、東のバタウィ族の反乱が並行して描かれている。2012/05/12
白神 健吾
4
かなり久々の投稿です… さて、今回読んだタキトゥスの『同時代史』ですが、帝政ローマに於けるフラウィウス朝が誕生するまでを知るためには欠かせない一冊です。 ですが、この『同時代史』は5巻までしか現存しておらず、ここからが面白いところなのに! というところで終わってしまっているのが非常に残念でなりません。 卒論と院への進学論文のためのテーマで悩む日々を送っていますが、この本を読んで 属州ユダヤの統治方法や ユダヤ戦争について書いても良いかもなと感じ、余計に揺れてしまいました。笑2016/02/11
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