NHKブックス<br> 維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ

個数:1
紙書籍版価格
¥1,870
  • 電子書籍
  • Reader

NHKブックス
維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ

  • 著者名:三谷博
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • NHK出版(2018/02発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140912485

ファイル: /

内容説明

幕末、雄藩が目指したのは武力討幕ではなく、幕藩体制を強化するための「公平な議論」だった。その願いが王政復古と中央集権国家樹立、身分制度の解体につながってゆく道筋を、「課題解決と権力闘争の循環」という一貫した視点で描く。幕末維新研究の集大成として第一人者が世に問う、全く新しい明治維新史。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

53
幕末の複雑な政治変動について、その時々の様々な主体(朝廷、幕閣、一会桑、薩摩、長州、他の雄藩など)の対抗や連合関係を軸にして、どのような力学が歴史に働いたかを整理してある。専ら自身の著作を含めた先行研究を利用しており、内容的には再構築だが、例えばブローデルとそれを参照した複雑系のモデルを考慮したり、世界史の中に位置づけるグローバル・ヒストリー的アプローチを取り入れたりして、かなり上手くまとめられていると思った。途中のマトリクスや各勢力の意図を整理した表が理解を助けてくれる。明治~西南戦争はやや物足りない。2021/05/29

樋口佳之

23
主権国家体制が規定する対等外交のルールを認めるか否かは、東アジア各国の命運を左右する問題となったのであるが、中国的な価値観から見た日本の周辺性はこの点で極めて有利/近世日本の国家は「双頭・連邦」国家と要約できるように、分権的かつ階層的に組織されていた。この国家は、隣国の清朝や朝鮮のような、科挙と朱子学を核とする一元的な組織と比べると、解体が容易2018/05/14

MUNEKAZ

13
大変勉強になる概説書。複雑極まる幕末から維新までの流れを、「公儀」「集権」「脱身分化」をキーワードに読み解く。外圧からの国家防衛を動機とする「公儀」を求める運動は、ついに近世の体制を破壊し、現代の日本に繋がる「国民」や「民主制」を用意することになる。幕末の政局をすっきりわかりやすく説明しているわけではないが、その根底にある争点や各アクターのポジション取りを丁寧に追っているのが理解の助けになる。また幕府が生き残れていたかもしれないIfにも触れている。全て自明の道ではなく、手探りで新しい時代が生まれたのだ。2025/01/11

かんがく

13
同作者の『明治維新とナショナリズム』を一般向けに再構築したような内容。単純化されがちな幕末史の政局がかなり緻密に描かれていて理解が進む。「公議」を目指す越前・薩摩を主軸に添え、江戸と京都の二地点に分けて考えることで幕末史のゴチャゴチャは整理できるかと。「公議」に加え、「脱身分化」「集権化」を維新の主要テーマに置いており、西南戦争まで通史がわかる構成で良い。ところどころ見ていると、幕府が残存するルートもいくらでもありえたなと思った。2020/07/05

新父帰る

8
主に安政5年の政変から西南内乱の20年を扱う。維新史の従来の手法、つまり活躍した特定の藩や個人そしてその敵役に焦点を当てるのでなく、様々な政治的事件で提起された課題を設定して、それをどのように解決していったかという過程を模索する、新たな試みと銘打って、世に問うた維新史。公武合体の成立と二つの王政復古。維新によってもたらされた世襲身分制の解体。西南の役に代表される内乱から言論戦へのバトンタッチ。本書は様々な政治的事件を扱うために、その展開が微に入り、細に入るので、目が離せなくって時々目が回って天を仰いだ。2018/03/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/12551260
  • ご注意事項

最近チェックした商品