新潮クレスト・ブックス<br> ファミリー・ライフ

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新潮クレスト・ブックス
ファミリー・ライフ

  • 著者名:アキール・シャルマ【著】/小野正嗣【訳】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 新潮社(2018/02発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 540pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784105901431

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内容説明

インドからアメリカに渡り、ささやかな幸福を築いてきた移民一家の日常が、夏休みのプールの事故で暗転する。意識が戻らない兄、介護の毎日に疲弊する両親、そして悲しみの中で成長していく弟――。痛切な愛情と祈りにあふれる自伝的長篇を、繊細であたたかな小野正嗣訳で。フォリオ賞・国際IMPACダブリン文学賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

140
インドからアメリカへ移住したミシュラ一家の生活模様が次男アジェの視点で語られる。話の大きな転換点は兄のプール事故であり、続く介護体験を通して自身や両親をはじめ取り巻く人々の脆さや傲慢さがまざまざと描き出されていく。とりわけアジェを苛む孤独や絶望、無力感や罪悪感などは著者の声そのものと言える迫真性。書く行為がいかに現実と向き合う支えになったかも綴られている。アジェも両親も祈り方は三者三様だが、幸福を重荷にしてしまうほどの切実な愛情を感じさせるもの。介護生活がもたらす人間の変質をリアルに映し出した自伝的作品。2021/07/08

Willie the Wildcat

75
物心両面での不安定さが、罪の意識と悲しみを深める。自分を見失い、自然自分を覆い隠すようになる。結果、居場所を見出せない悪循環。”静かに”もがき苦しむ中、読書を通した内なる気づきの件が印象的。目の前の現実と葛藤しながら、道を切り拓こうとする姿勢。一流大学を卒業し、一流企業就職などの”物理的”目標は達成。心の傷が治癒することはいかもしれないが、緩和はすることはできると信じたい。文字通り、一歩ずつ着実に前進。父親の行方不明も、根っこは同じという気がする。光は見えた!2018/06/19

SOHSA

66
《図書館本》なかなかに重く深い。自由の国アメリカはやはり全く自由ではなかった。移民の国でありながら、後続の移民には想像以上に厳しい世界だ。わずか3分の出来事が一家の未来を大きく変え、誰もその責を負ってくれる人はいない。信ずる神さえも。語り手はただそれを事実と運命として受け入れるほかはない。最後の最後まで語り手にもその家族にも救いは訪れない。最後の一行は語り手の自己嫌悪と未来への不安、僅かな希望を表している。どのような不幸が人を襲ったとしても永劫には続かない。やがて人は皆死にゆく。全ては時間が解決する。2018/09/03

キムチ

58
母国インドを離れ、アメリカに渡った一家。僅か3分の衝撃が一家のその後に、永劫に続く運命の一撃を落とした。 少年の見た社会、そして変貌を遂げてしまった家族の情景を描いている。筆者の自叙伝ともいうべき内容だが、母国語ではない英語で書いたところにワンクッションがある為か、みずみずしさがあり、小野さんの訳と相まって清冽な印象の仕上がりになっている。そう言った状況に陥らないと解らないというのはよく言われることだが「移民」という選択肢もまさにそうであろう。インドではエリートであったろうプライドがくじかれたり、 2020/11/24

白のヒメ

56
インドに住む夫婦と二人の息子の四人家族が、アメリカに移住する。風土も言葉も宗教も違う生活に戸惑いながらも生活していく様が幼い弟の語りで綴られる。物語の軸になるのは、優秀だった兄がプールの事故で寝たきりになってしまい、家族にのしかかってくる介護生活。ただでさえ慣れない外国での暮らしの中、肉体的にも精神的にも経済的にも過酷な状況を、それでもなんとか家族で切り抜けていこうとする様子に胸が打たれる。作者の実話をもとにしているという。本来ならどこまでも暗くなってしまう話を前向きに読ませるのが凄いなと思う。2018/03/30

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