内容説明
軍事戦略の不朽の名著『孫子』と『戦争論』。軍事戦略研究の大家が両書を大胆に比較し、真に学ぶべき戦略の本質に迫る。米国のみならず世界中の軍人が共通して学んだグローバル・スタンダードな戦略が学べる入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
手押し戦車
24
ビジネスから見ると競合他社の妥当を企業の第一の目的としたら競合より良い製品をより安く提供することを盲目的に目指すことになり自社の製品が顧客の求めるものと徐々に乖離し気づけば顧客の望まない製品改良に多くの経営資源を注ぎ込む結果へと繋がってしまう。ビジネスの競争とは製品ではなく顧客価値との競争である。自社が競争優位を確立できる分野に徹底的に経営資源を投入していくことでさらなる成長げできる。経営資源は限りがあるので目の前に魅力的な事業があっても経営資源投入によってコア事業の弱体化を招くようならば手を引く事2015/07/24
Kawai Hideki
16
ベトナム戦争で苦い敗北を経験をした米国防総省が、敗因を徹底的に追及するために「軍事古典研究」を行い教科書化した本。中国春秋時代に「孫子」を著した孫武と、ナポレオン時代に「戦争論」を著したクラウゼヴィッツの考え方を対比させ、その共通点から時代や文化の違いを超えて不変の「戦い方の本質」を浮き彫りにする。結論は「孫武すげー」「クラウゼヴィッツは補足」という位置づけ。「戦争は政治の一形態」という定義にドキッとする。やむを得ず戦争となったら「戦わずして勝つ」ために「縦横無尽の諜報活動」と「臨機応変の対応」が重要。2013/08/04
中島直人
8
文章も読み易く量も手頃。それでいて知的刺激は非常に大。お勧めの作品。 孫子とクラウゼヴィッツには共通点が多いと共に相違点も多い。相違点は、3点。インテリジェンスと欺瞞と戦場におけるコントロールに関する見解。クラウゼヴィッツの見解を活かした戦略を取った日本とドイツが戦争に敗れ、孫子の見解を活かした(ように見える)英米が勝利したことは、特に中華文化圏に属している日本にとって大きな皮肉か。また、規模的には総力戦ではなく一局地戦に過ぎないベトナム戦争で、ここまで『反省』する米国には日本は永久に勝てないと実感する。2013/12/01
まつを
6
一般的に言われる『孫氏』と『戦争論』の相違点に対し、相違点は僅かであり、共通点が多いと言う仮説を検証している。両書のどちらが良い悪いではなく、政治の道具として2つの古典は補完関係である事を結論としている。内容は、孫武,クラウゼヴィッツどちらか一方に偏る事なく、両書のエッセンスを本書一冊で感じ取る事が出来る。運・偶然・軍事的天才など、抽象的概念を論じる『戦争論』に対し、より上位の戦略を体系的に一般化した『孫氏』に科学的価値を感じるが、両者が異なったレベルで分析を試みた結果である事を理解しなければならない。2015/03/15
叛逆のくりぃむ
4
『孫子』も『戦争論』も共に高校時代に読んだものであるが、『戦争論』の方はあまり印象に残らなかった。表現が抽象的に過ぎるというのもあるが、リデルハートの『戦争論』批判も影響してる。本書ではリデルハートの謬見を正し、両著が相互補完の関係にあることを論証してる。軍人向けに執筆されたテキストであるが、非常に読みやすく、初読者にお薦めである。2016/06/18
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