内容説明
国民は知らない。自分たちの財産を食いつぶす輩がいることを。新聞やテレビには報じられない闇があることを。しがらみにまみれ、権力、利権、欲望渦巻く日本の病巣──。中央官庁、司法、医療、教育など、国民生活に密接するこの国の中枢で何が行われているのか? 26の組織や制度のアンタッチャブルな裏面に迫り、その知られざる素顔を暴く。会員制情報誌「選択」の長期名物連載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
106
日本の知られざる利権、腐敗に警鐘を鳴らす作品。私も40代なので既知の内容もある。出版されて約10年が経つ。現在ではどれだけの改善が為されただろうか。変わらないと思うのは交通安全協会、特殊法人、天下り等だろう。身近な交通安全協会で言えば、警察OBの天下りであり、警察の身内の人間が採用されている。業務は緩い。証紙に関し横領もある。やはり競争のない独占業務は腐敗を生む。名を変えて生き続ける特殊法人も不要な法人が多い。時代の要請で設立された特殊法人は、問題が解決されれば解散すべき。利権を手放す役人の矜持を見たい。2020/11/14
獺祭魚の食客@鯨鯢
53
日本のタブーと言われる「聖域」の数々を雑誌「選択」編集部が単行本化。その中で「日本相撲協会~何から何までカネカネカネ」は利権の温床のひとつとして綴られている。 二代貴乃花親方に関する騒動は汚れたこの組織を改革しようともがいた彼がドン・キホーテと化していく理由を解いている。 引退した親方がモギリや審判など運営する自給自足組織は、後継者育成の努力を怠り助っ人力士に依存してきた。 彼らは帰化しない限り親方になれず、使い捨て要員である。そんな不合理な世界に見切りをつけてさっさと帰国する者も少なくない。 2022/05/29
hatayan
43
2012年刊。定期購読誌「選択」に連載中のコラムを書籍化。 人工透析、創価学会、児童相談所、相撲協会。1章15頁程度で、表だっては語られない政官財の腐敗や癒着を告発。福島の原発事故で「多少の危険には目をつぶって農産物の流通を優先した」統治者の論理を赤裸々に告発した食品安全委員会の章は痛快ですらありました。 紙幅の都合上批判が先行するのはやむを得ないところですが、単に溜飲を下げるのではなく、背景や影響、教訓を読み取る姿勢が読み手には求められるのではないかと思います。 解説では池上彰氏が本書を絶賛しています。2019/10/24
ヴェネツィア
41
ここでいう聖域は出雲大社や伊勢神宮といった聖なる地のことではなく、その多くは巨大な官僚機構に守られ、国民にはアンタッチャブルな組織のこと。会員制の情報誌「選択」による編集。日本に住み、高額の税金を収めさせられているのが嫌になるような告発ばかりだ。また官ばかりではなく、例えば腎臓病の透析ビジネスなど、我々には知りようもないところで行われている医療の実態など戦慄を覚えるばかりだ。ただ、全体としてはよく編集されているのだが、「政財官界で活躍する読者」を対象とする情報誌であることの限界もあるようだ。2012/12/31
GAKU
38
書店での販売は行わず、会員制年間購読で直販のみの雑誌「選択」に、長期に渡り連載されている人気コラムを新潮社が文庫化した1冊。マスコミ界の一流多彩な人達が全て匿名で執筆。国の中枢を担う組織や制度のタブー、悪しき「聖域」を晒していきます。読めば読むほど利権に関わる腐敗のオンパレードで、嫌悪感が増すばかりですが読み物としては面白かったです。2012年より数冊刊行されているので、順次読んでいこうと思います。2023/10/18