内容説明
イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
211
2018年新書大賞第4位。 日本では「大衆迎合主義」とも説明される 今世紀のポピュリズムを書いた作品である。 長年 日本がお手本としてきたアメリカそして 西欧で 一体今 何が起きているのか? イギリスのEU離脱、トランプ政権成立などを 題材に 懇切丁寧に 各国の事情を描く。 急速にグローバル化するポピュリズムに 若干の不安を感じる、そんな読後感だった。2018/03/11
KAZOO
162
世界の政治状況についての。ポピュリズムの動きについて最近までの状況が書かれていて参考になりました。英国、トランプやオランダ、フランス、スイスの動きまでがかかれています。日本でも維新の橋本さんがそうだといいますが、どちらかというと小泉首相から始まって今の安倍総理など典型的なものだと思います。吉田首相のような昔の骨のある政治家というのが懐かしくなります。2017/05/18
夜間飛行
119
著者はポピュリズムをデモクラシーの隘路と考え、例えばグローバル化を一方的に進める「上」から痛みを負わされた「下」の反発…というように(政治手法ではなく)政治運動と見なしている。なるほど代議制や司法制に立脚したデモクラシーは硬直した権力構造を生むから、民衆の直接参加を促すポピュリズムが必要になってくる。しかしそうはいってもポピュリズム特有の排他主義が行きすぎれば紛争が生じる。その辺り日本より動きの早い英仏、ベルギー、オランダ、デンマークの事例はたいへん参考になった。西欧とラテンアメリカの違いも無視できない。2018/05/20
マエダ
93
ポピュリズムの時代となりえる21世紀これは知っておかねばと読了。ポピュリズムを「固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に訴える政治スタイル」と「人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」の二つの定義に分けひもといている。2017/09/01
どんぐり
72
ヤン=ヴェルナー・ミュラーの同名本よりは、こちらのほうが理解しやすい。ポピュリズムの特徴は、以下の4つ。①ポピュリズムはその主張の中心に、「人民」を置いている。②「人民」重視の裏返しとしてのエリート批判がある。③「カリスマ的リーダー」の存在。④イデオロギーにおける「薄さ」。イギリスのEU離脱にはじまり、移民・難民排除を訴えるヨーロッパ極右政党の台頭、ベルギーの言語問題とフランデレン民族主義、アメリカ第一主義を掲げるトランプなど、グローバル化するポピュリズムの態様を知るにはよい入門書だ。2018/07/15
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