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内容説明
「法律や政治、巨大な国際的資本フローにウェルス・マネジャーが与える影響を考えれば、彼らがすでに広く認められた研究文献の主題になっていてもおかしくない、と思われるかもしれない。ところが、最近発表された数件の記事と、20年以上前に刊行された書籍の一部で紹介されている以外、この職業は学者の間でほとんど知られていない。関心が持たれなかったからではなく、情報の入手が困難なせいである」(本文)
そこで著者は2年間のウェルス・マネジメント研修プログラムに参加し、世界標準規格として認められている資格であるTEPを取得する。
「優秀な成績でプログラムを修了したおかげで、この職業に近づきがたくしていた手強い障壁を乗り越えられるほどの内部者になることができた」(本文)
そこから明らかになったのは、大富豪の懐に入り、世界規模でマネーを操る、資産管理のプロたちの姿だった。格差拡大の原因ともなっている「富豪の執事」たちの実態を初めて学術的に分析する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiroo Shimoda
6
資産運用より防衛、秘匿、管理こそが価値。受託者は本来は無償のものだという話が印象に残った。2018/10/25
roxy001960
3
想像していた内容とはちょっと違っていた。もっとプライベートバンカー的な話かと思ったら、そうじゃなかったのね。ちゃんとした研究者の著書らしいし。信託法には明るくないので、いまいち理解できない部分もあったけど、歴史的な成り立ちがわかってよかった。2018/07/10
不労所得700万
1
信託も何もわからない状態で買ったので読むのに苦労した。 いかに依頼主が国からお金を取られずに相続させるかという事を生業にしている人たちの実態を知れる本。税金の安い国に資産を保持したりとグレーな仕事らしい。彼らは"金持ちは3代で終わる"と言われる風習に抗い何代も資産を防衛する事を試みる。2023/09/10
Masayuki Shimura
1
【受託者の役割が封建国家に応じて登場したように、ウェルス・マネジメントは、世界の最富裕層が創造して住まう超国家的な空間の副産物なのである】(文中より引用)・・・・・税を課す側・課される側の地球規模でのいたちごっこを描いた意欲作。中世の倫理観と現代の金融技術で武装した者たちが繰り広げる未知のドラマが広がっていました。殊更にウェルス・マネジャーばかりを批難するものではなく、研究者としてのバランス感覚も見事だったと思います。2022/10/13
christinayan01
1
超大金持ちの資産管理者に関する実態や情報が無いから、著者自らが2年間の研修を経てウェルス・マネージャに転身して彼らの業態を調査したという凄まじい熱意の一冊。レポートもきれい。 年収は3千万前後で出来高報酬はない。経歴は大手金融機関で20年程度必要の様子。 転職後素性を明かしたが意外にも同業者は調査に協力的だったそう。業務は複雑怪奇な租税回避と面倒な交渉を受け持っているようで、相当なタフさが要ると思った。カネがあれば法律も実質無効化できる。 英米の財団や寄附の税制に結構詳しくなれると思う。基本テク。2019/04/13