内容説明
夢のアメリカに恋い焦がれた若者の青春小説。
戦後10年目の1955年、日本人はまだ貧しい生活を送りながら、大国アメリカの豊かな物質文化や娯楽産業に憧れをいだいていた。
クリーネックス・ティシューや雑誌「ヴォーグ」、そしてハリウッド映画。そんな時代に、20代半ばの青年・重吉と演劇に没頭している椙枝は二人で愛をはぐくんでいた。一向に見えない自分たちの将来に悪戦苦闘しながらも愛と希望だけを頼りに生きる、往時の若者たちが瑞々しく描かれる。
全4編からなる第96回直木賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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3
アメリカの文化を夢のように憧れた1950~1960代の日本の若者の一例がここにある。ゲーリー・クーパーの主演映画を映画館でリアルタイムで見ることが出来たなんて正に夢のよう。私事ながら学生時代に西部劇の中古ペイパーバックを古書店で手に入れて読もうとした記憶がある。ペイパーバックの画像をネットで検索するとバラエティー豊かなカバーイラストを楽しむことが出来る。本小説を読んで新藤兼人の監督デビュー作『愛妻物語』と雰囲気が似ていると思った。2021/08/19
三鷹台のすずめ
2
大森望さんのご紹介で手にとった。翻訳家の卵の日常。ガスがきていない高田馬場。井の頭線の階段・・・。 福島正実さんもでてくる。 アップルパイを知らない母三越で威張る父。 汝の父母を敬えの意味を自分に問い直す。読んでよかった。2023/01/29
アイゼンハワー
0
G52022/07/11
シンチャイナ
0
コカ・コーラ、クリネックス、ハンバーガー、ピザ。1995年代のアメリアを、ペイパーバックを通して、紹介。未だ、いや。もう60年前の日本では知らない事、だったんだ!2018/08/22