岩波新書<br> 抗生物質と人間 - マイクロバイオームの危機

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岩波新書
抗生物質と人間 - マイクロバイオームの危機

  • 著者名:山本太郎
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2018/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316794

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内容説明

増加する生活習慣病,拡大する薬剤耐性菌.その背後には抗生物質の過剰使用がある.抗生物質の服用によって攪乱され失われていくヒト常在菌叢(マイクロバイオータ).万能の薬はいまや効力を失い,私たちは「ポスト抗生物質時代」に突入しつつある.最新の科学的知見をもとに,その逆説の意味を問う.

目次

目  次

 プロローグ──抗生物質がなくて亡くなった祖父母、抗生物質耐性菌のために亡くなった祖母

 第1章 抗生物質の光と影
   二人の患者──エピソード1/ペニシリンの発見/劇的な効果/抗生物質が効く仕組み/コモンズの悲劇/耐性菌の登場/進化の安定戦略が教えてくれるもう一つの重要なこと/急増する肥満は現代の疫病か/アレルギー/糖 尿 病/現代の疫病
  コラム 碧素一号の完成

 第2章 微生物の惑星
   レーウェンフックの見たもの──エピソード2/微生物の惑星/ウーズの分類体系/微生物がつくるネットワーク
  コラム 失われた光の輝き

 第3章 マイクロバイオームの世界
    「ヒトゲノム計画」の完成がもたらした衝撃──エピソード3/キメラとしての「私」/マイクロバイオームとは/ヒト・マイクロバイオータとマイクロバイオームの世界/共生細菌と私たちの免疫系/窒素を固定する腸内細菌
  コラム 水と石炭と空気からパンを作る方法

 第4章 抗生物質が体内の生態系に引き起こすこと
   腸内細菌の移植実験──エピソード4/家畜への使用と巨大化/マーティン・ブレイザーの実験/ヒトの身長と体内衛生環境仮説/旧石器時代後期にもヒトの身長は低下していた/体内衛生環境仮説とベルクマンの法則に関する一私見/ポスト抗生物質時代の疫病をとりまく謎/子ども時代の影響/オランダの飢餓の冬
  コラム 過去にも肥満は存在した

 第5章 腸内細菌の伝達と帝王切開
   ゼンメルワイスの悲劇──エピソード5/帝王切開で救われた命/帝王切開は、近代医学の福音だった/行きすぎた近代医学の応用/母から子へ受け継がれるもの、それを阻害するもの/エイヴォン親子長期研究/感染症と母乳と免疫と常在細菌
 第6章 未来の医療
   コッホの実験──エピソード6/菌の不在から始まる病気──新しい医学/抗生物質の冬/抗生物質使用のジレンマ/失われたものの大きさ/ 「人間(ヒト)中心主義」とそれに対する批判
 エピローグ──世界の腸内細菌を探しに
   あとがき
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

としちゃん

46
抗生物質の歴史と、新たに起こっている問題について書かれた本です。抗生物質の発見により、それまで助からなかった命が助かるようになったけれど、その一方で、体の中に常在している有益な菌も殺してしまう。体の中には何かの役割を担っている多くの菌がいて、抗生物質は、その共存関係を撹乱すると著者は懸念しています。抗生物質が必要な病気もあれは、飲まなくても治る病気もあり、飲んでも意味がない病気もあることを認識しておくことが大事かな。因みに、インフルエンザはウイルスなので、抗生物質を飲んでも意味がないそうです。2017/11/16

活字の旅遊人

16
タイトルから内容はある程度想像がつく。でも、一読の価値はあった。いや、大いにあった。抗生剤に限らず、医療、いや人類の文明そのものが問われている。今更あとには引けないのだけど。

はなよ

15
少し本を読んでいれば分かるぐらい基本的な事しか書かれていない上に、話がしょっちゅう脱線してただでさえ少ないページ数の中で表題について語られている事は少ない。 抗生物質について知りたいのなら他の本を読んだ方がいいと思った。2021/11/30

templecity

9
抗生物質で人類の命は随分助けられたが、近年抗生物質の取りすぎで肥満が問題になったりしている。家畜なども抗生物質を摂取させることで太るので大量に使われている。また抗生物質の過摂取で細菌に耐性ができて効かなくなってきている。自然分娩だと出産の際に乳児が口から母体の細菌を引き継いでいたのが帝王切開で引き継げなくなっている。チベットなど高地に住んでいる民族には未だ昔から引き継いでいる体内細菌が見つかることがあるということで研究も進んでいるとか。 2019/01/15

王子

8
著者の提言する、抗生物質の過剰使用の防止、微生物との〈共生〉は、偶然にも、ついこの前に読んだフロムの『悪について』におけるバイオフィリア的な人間のあり方にもつながるなあと思った。2018/10/10

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