岩波文庫<br> 井伏鱒二全詩集

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岩波文庫
井伏鱒二全詩集

  • 著者名:井伏鱒二
  • 価格 ¥616(本体¥560)
  • 岩波書店(2018/02発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003107744

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内容説明

「ハナニアラシノタトエモアルゾ/〈サヨナラ〉ダケガ人生ダ」(訳詩「勧酒」).諧謔と哀愁に満ちた言葉を自在に駆使し,独自の詩世界を切りひらいた井伏鱒二(1898―1993).「散文が書きたくなくなるとき,厄除けのつもりで」書いたという詩を集めた『厄除け詩集』に,初期の作品を加えた決定版全詩集.解説=東郷克己/穂村弘.

目次

目  次

 厄除け詩集

 厄除け詩集

 なだれ

 つくだ煮の小魚

 歳末閑居

 石地蔵

 逸 題

 冬の池畔──甲州大正池──

 按摩をとる

 寒夜母を思ふ

 かなめの生垣

 つばなつむうた(わらべうた)

 顎

 山の図に寄せる

 訳 詩

 題袁氏別業

 照鏡見白髪

 送朱大入秦

 春 暁

 洛陽道献呂四郎中

 長安道

 復 愁

 逢侠者

 答李澣

 聞 雁

 静夜思

 田家春望

 秋夜寄丘二十二員外

 別廬秦卿

 勧 酒

 古別離

 登柳州蛾山

 雨滴調

 渓 流

 魚拓(農家素描)

 かすみ

 つらら

 勉三さん

 川原の風景

 緑 蔭

 蛙

 歌 碑

 春 宵

 拾遺抄

 黒い蝶

 縄なひ機

 シンガポール所見

 再疎開途上

 水車は廻る

 夜の横町

 陸稲を送る

 紙 凧

 あの山

 泉

 石 垣

 誤 診

 蟻地獄(コンコンの唄)

 冬

 拾遺詩篇

 粗吟丘陵

 レギーネを愛す

 訳詩抄(古詩)
  父母のうた
  桃のうた
  みさご

 裸人健闘の像

 もの思ひのこと

 泥 酔

 秋風揺落
  汾上驚秋
  蜀道後期

 山桑を故郷に送る

 峠の雪の朝

 疎開余録

 田家展望

 唐ツバキの花

 笛の音

 或る影法師──関根隆君の詩集「白い館」に寄せる──

 付 録

 土井浦二名作品

 小魚の群

 巨大なる扇面

 病臥怨情

 発熱感傷

 『厄除け詩集』序・あとがき・後記

 野田書房版『厄除け詩集』序

 木馬社版『厄除け詩集』あとがき

 国文社版『厄よけ詩集』あとがき

 筑摩書房版『厄除け詩集』後記

 牧羊社版『厄除け詩集』後記
   書誌概要
   詩の自己浄化作用(東郷克美)
   この世の友達への眼差し(穂 村 弘)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

138
散文に近いと言えるぶっきら棒な文章から、滲み出す詩情。感傷性と大げさな表現を注意深く避けて、詩情の精髄だけを取り出した詩群だと思う。今回は詩の中に表現された人生のやるせなさが、熱燗の一杯のように沁みた。これからもこの詩集は繰り返し読みたい。2016/03/14

新地学@児童書病発動中

115
日本の詩は真面目な内容を持ったものが多いが、井伏鱒二の詩はユーモラスで、読んでいて吹き出してしまうことがある。例えば、電車に乗っていて顎が外れてしまった人に出会う「顎」はかなり可笑しい。ただし、作者は顎が外れた人を突き放して見ているのではなく、厚い同情を寄せている。それは詩の中に出てくる「ほろをん ほろをん」というオノマトペで分かる。ユーモアとペーソスと哀しさが絶妙に混ぜ合わされた言葉。この「ほろをん」を何度でも味わうことで、私たちの人生は豊かになっていく。2016/12/18

新地学@児童書病発動中

67
こういう本を文庫で出してくれるから岩波書店は好きだ。およそ詩には思えない散文めいた内容の中に、閃光のように詩情を潜ませる井伏鱒二の手際にしびれる。私達の平凡な生活を凝視すれば、その核には詩があることを教えてくれる素晴らしい本。冒頭の詩の「なだれ」に見られるようなユーモアも大変好み。2013/04/06

藤月はな(灯れ松明の火)

64
まだ、寒いがポカポカした陽射しが当たる縁側で梅を眺めながら緑茶を啜るような気分になれる詩集。『左近の桜』(長野まゆみ)で引用されていた井伏鱒二訳の「勧酒」が読めて嬉しかったです。「つくだ煮の小魚」はなんとなく、穂村弘氏が作詞したNHK合唱コンクール高校生の部での課題曲、「メープルシロップ」での「たらこおにぎり=命を食べるという一種のグロテスクさ」という解釈のくだりを思い出しました。「誤診」は心臓肥大が嘘だという理由で「物事に心が動くことが希になってきたから」というのに泣き笑いそうになりました。2015/03/14

厩戸皇子そっくりおじさん・寺

59
先日読んだ『厄除け詩集』がすっかり気に入ったのでこちらもチェック。講談社文芸文庫版に無い詩と解説を読む。解説が2つあって、研究者の解説の他に穂村弘の解説も付いている。近頃そんな文庫が増えたが、いい事だと思う。古人や古典と私達を繋げてくれる人はいつだって必要だ。解説によると、井伏さんの訳詩は元ネタがあるそうだ。『ジョン万次郎漂流記』も『黒い雨』も盗作だという猪瀬直樹説があるが、こちらの訳詩の元ネタは井伏さんの亡父だそうだからちょっとした親孝行である。お父さんもお兄さんも文学青年だったそうだから好環境である。2019/08/26

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