内容説明
加賀を離れ廻国修行の旅へ出た夜叉丸(のちの一刀斎)は、亡父と同じ伊東弥五郎と名を改めた。佐々木小次郎、富田勢源、鐘捲自斎など名だたる剣士との邂逅が、彼を大きく成長させる。そして、さらなる高みを目指し、鹿島・香取剣流の発祥地である東国へ向かう――。史上最強とうたわれる剣聖の波瀾万丈の生涯を瑞々しい筆致で綴り上げた著者畢生の名作が甦る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
私的読書メモ3328
2
読み終えてみると、本書と現在のものを比較することでエンタメ小説の進化が浮かび上がってくる作品でした。過剰な演出や饒舌で白けさせられることがない反面、余分な脇の筋に分量をかけながら「ここぞ」の場面があっさりしすぎているのは、欠点と言わざるをえません。父、れん、佐々木小次郎と因縁の相手との決着が軽く思われ、またクライマックスといえる宿敵との決戦もないのは著しく消化不良を起こさせられます。エピローグも、漂う哀愁と無常感は素晴らしいのですが、作中の兵法追求の果てがこれでいいのか、とやや不満を覚えました。2018/11/08
lastsamurai
0
宮本武蔵に勝ち、佐々木小次郎を切るフィクションがうまく組み込まれており楽しめる一面もあります。2018/08/20