文春新書<br> オッペケペー節と明治

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文春新書
オッペケペー節と明治

  • 著者名:永嶺重敏
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 文藝春秋(2018/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784166611553

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内容説明

明治24年6月、東京・浅草で歌われた「オッペケペー節」は、「権利幸福嫌いな人に、自由湯をば飲ましたい」と訴え、たちまち当時の流行歌となった。歌ったのは後ろ鉢巻、陣羽織に軍扇と現在の「コスプレ」の先駆けるともいえる扮装をした川上音二郎。日本のラップの元祖ともいうべきこの歌は、なぜ民衆の心を捉えたのか。その過程を追いながら、大日本帝国憲法の発布、最初の総選挙、東海道線の新橋―神戸間が開通、新聞、雑誌の創刊と政治、インフラ、文化の多方面で近代化が始まった明治の日本を旅する!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

55
元祖・ラップミュージック。歴史ドラマに川上音二郎が登場すれば、必ず演じられたであろう。しかしその旋律は長い間謎であったという。日本人の歌声の最古の録音として発見されたのは、文化史的にも大きなニュース。フランスのパリと明治の東京との結びつき、そして放送のない時代に、どのようにして流行歌が広まったのかという謎解きとして、楽しく読んだ。そして川上音二郎という、マルチ芸術家を深く知ることのできる本である。2019/06/07

春風

24
明治20年代の流行歌『オッペケペー節』。テレビ・ラジオは言を俟たずレコードすら無いこの時代に、どのように伝播され、日本各地で共時的にこの流行を共有できたのか。そしてどのように多くの民衆に受容されるに至ったかに関しても、当時の政治運動やメディア媒体等に触れ考察を加えている。庶民的視座の歴史書としても、メディア論としても示唆に富む内容である。読書をしていて、これほどまでに頭に音曲が鳴り響く経験というのは初めてであったが、それを通じ、近代への過渡期の騒々しさを肌で感じられるようで、興味深い論考であった。2019/03/07

さとうしん

12
自由民権運動へのノスタルジーが込められているという時代背景と政治的なメッセージ性の強さ、「声の文化」と「文字の文化」をつなぐ存在として、蓄音機や鉄道といった新しい事物との関わり、そして反政府的な内容から日清戦争賛美へといった内容や世相の変化など、多角的にオッペケペー節について分析している。オビにもある通り「明治150年」を意識しているようだが、こういう明治の掘り起こしもアリだろう。2018/02/02

nadaha

6
明治時代に流行したオッペケペー節を成立から流行り、廃れていくまで論じる。もともとの歌詞は政治や有名人を皮肉る意味合いもあったようだが、流行していくにつれて俗っぽくわかりやすいものになっていく。ポップな要素がなければ人口に膾炙する前に消えてしまうし、流行ってしまうとポップな要素ばかりが求められて元々伝えたかった事や重要なキモの部分が消えてしまう。人気が出るというのはつまんなくなることでもある。反社会的なものが一部に受けて、それが大衆化する過程でトゲが抜かれていくのはどこにでもある事なんだなぁ、と。2018/10/02

恵美

2
庶民の間の流行かと思ったが、華族の若様も魅了していたのか。意外。作詞者の方々はすごいな。五七のリズムで巧みに世相を揶揄。2018/03/20

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