内容説明
本職・探偵、副業・ライター。飄々と生きる頸城悦夫。IT長者ウィリアム・ベックを取材するため、富豪の別荘を訪れたその日に、敷地内で射殺事件が起きる。被害者はベックの主治医。生前の彼と最後に話したのは、こともあろうが頸城だった!? 富豪の妻、息子、息子の恋人に使用人たち。一癖二癖ある人々の話を聞き、頸城は事件解決を試みるが、第二の殺人が起き……。瀟洒でビターなミステリィ。(解説/和希沙也)
目次
プロローグ
第1章 不在・羨望・さらに思議
第2章 関係・記録・さらに意味
第3章 破綻・混乱・さらに虚無
第4章 発想・消滅・さらに不意
エピローグ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rio
33
探偵兼ライターの頸城は、IT長者の自伝を書くため彼の別荘を訪れ殺人事件に巻き込まれる本格ミステリー。「ゾラ」の続編ですが独立した物語のため未読の方も楽しめます。全体的にハードボイルドな雰囲気がある一方、主人公は適当な感じでそのギャップが絶妙でした。何気ない会話のやり取りや、所々に入るシュールなジョークが魅力的でもあり、哀しい事件と相俟って良い雰囲気で読了しました。その後の物語が出ることを期待します。2018/03/04
Y2K☮
33
ある種の男の書き手なら、誰でも一度はこういう世界を創りたくなる。ハードボイルド? 定義を突き詰めたらそこまでストイックじゃない。でもタフで媚びない男の弱さが垣間見えて、尚且つリアルと美意識がギリギリの調和。だからこその感情移入。もし著者が私立探偵になっていたら、と想像できた。作家は己の作品の中で別の人生を送る事ができる。望むなら上手くいかなかった恋愛や友情を成就させる事だって。それでも現実はあくまでも現実。どこまでも付き纏う。作中の様々な人に「どんまい」と告げたい。ああいう告白ほど残酷なものはないよなぁ。2018/02/09
らび
31
ゾラの続編だったのか~ってそんなに古くもないはずなのにゾラの記憶が全くない。読んだのよ(^_^;)頸城は森作品の主人公だな!って感じの雰囲気だし周囲の女性たちも例外なくそうで、2つの殺人事件は起こりますが的は絞りやすかったし真相はそうなんだろうな・・なんですが事件やストーリーを楽しむより会話だったり雰囲気を楽しむ作品でしょうね。2018/06/10
なつくさ
27
森的ハードボイルドシリーズ第2弾。探偵かつライタの頸城は本の取材のため大富豪の別荘を訪れ、当たり前のように事件に巻き込まれる。ハードボイルドにビターはつきもの。頸城がんばれ。暗闇・キッス・それだけで。それが最後の贈り物だったのかもしれないのだから。うーん、でも、頸城って、そんなに魅力的なのだろか。そこが分からないからダメなのかもしれない。がっくり。頸城と鷹知のイメージが近いので、少し疑っていたりして。希望的観測だろうか。2022/04/10
神太郎
23
タイトルから内容を推察しづらいが、ゾラ・一撃・さようならの続編。そういえばこんな雰囲気だったなと思いつつ。今回は大富豪へのインタビューをしようかと思った矢先にそこで事件が起きてしまう。インタビューをしつつ事件も解決しつつ。森さんらしく100%の解答を出すというよりもきっとこうだったんじゃ?という感じの推理劇。GやXのよりは推理を展開してくれてるなぁという印象。2025/02/08