内容説明
「中国では七回も売られたんだ」終戦は新たな苦難の始まりだった。肉親と逸(はぐ)れ、大陸に取り残されてしまった日本人は、運命の分かれ道で重い選択を強いられた。戦時下の満州や戦後の中国を彼らはどのように生き延び、帰国を果たしたのか。元戦争孤児の父をもつ著者は、人生の終着駅に向かう六人の体験を丹念に聞き取り、紡いでゆく。戦争体験者のいなくなる時代に残すべき貴重な証言の記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
110
大東亜戦争の敗戦で世界から忽然と消えた満州国。満州国は消えても、満州に渡った日本人達は取り残された。地獄の状況を生き抜き日本に戻った6名の記録。開拓団の生き残りとして、従軍看護婦として、兵士として、中国残留孤児として、必死に生き残った人々の体験は筆舌にし難い。思うことは、どの国でも残酷な人間もいれば、暖かな人物もいるということ。避難する開拓団を襲う暴徒も中国人であれば、救いの手を差し伸べる中国人もいた。ステレオタイプで国家や民族を判断してはいけない。個人の交流があれば分かりあえることもある。貴重な一冊。2019/06/18
Shinya Ishikawa
4
お隣のおばあちゃんが戦争でどれだけ辛い経験をしたのか。親戚のおじいさんは兵隊に行ってどんな経験をして帰ったのか。そんな肌感覚で、本書は戦禍が人をどう弄ぶのかを伝えてくれます。「あの戦争」で残ったものは、隣国や対戦国そして我が国の多大な犠牲、隣国の我が国への悪感情、そして本書に記されるような辛苦の記憶だけではないでしょうか。自虐史観批判はなされて然りですが、当時の我が国の国策はあまりに罪深い。真の反省はされているでしょうか。本書はそれを伝え、同じ歴史を繰り返さないことを胸に刻むための歴史の記録です。2018/03/28
micari
2
64.2019/12/27
うたまる
2
「この地から出たかった。でも、結局満州は、どこに行っても助かる場所はなかったということです」……祖国に見捨てられた在満邦人たちの逃避行を集めた証言録。子供を置いていくか連れていくか、虐待家庭に残るか逃げ出すか、相手を殺すか殺されるか、そんな極限の選択をくぐり抜けてきた証言者たち。でもそれは本当に”選択”だったろうか。その場ではそうするしかなかったのではないか。選んだようでいて、選ばざるを得なかったのではないか。国家も同じ。誰が総理でも戦争を始めたと思う。選択を強いられるもっと前でないと、多分止められない。2019/06/18
kaboking
2
久し振りに残留孤児についての本を読んだ。本屋で手に取り、パラパラと立ち読みしていたら、涙が流れてどうしようもなくなったので、レジへそのまま持っていき、帰宅してから引き続き読んだ。2017/08/12
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