内容説明
心眼のレンズを通して見た少女や猫や花などのモチーフを、油彩やオブジェ、写真、コラージュなどで多彩に表現した伝説の画家、合田佐和子。
見る者を一瞬にして異なる時空へと連れ去る合田作品の魅力を、そのモチーフから、変化に富む様式から、作家が生前愛したものや暮らしぶりから、あますことなく探ってゆく、入門書にして決定版となる作品集。
未発表作、および豪華執筆陣によるエッセイも多数掲載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
79
高知で没後初の回顧展が開催され、その巡回展示が今月末に東京で始まる美術家・合田佐和子(1940ー2016年)の作品集。オブジェに始まり、レンズやフィルターを通した写真、映画をもとに描いた女優のポートレートや耽美的で幻想的な作品の数々。それと巌谷國士、吉本ばなな、山崎まどか等のエッセイとインタビューも載っている。写真から絵を描き起こすのが大きな特徴で、作者自身が自分の手法を「レンズ効果」と呼んでいる。次は実際の絵を見に行くことにしよう。2023/01/16
takao
3
ふむ2022/08/07
の
2
画家・合田佐和子の創造性とその根底にある美意識に迫る一冊。ライティングとレタッチによって作成された写真を基に作成された作品の、とらえどころのない輪郭や色彩が、幻想的な妖しさを放つ。人工の光を何度も通すことで、有機物の物体が何か他のものへと変化していく。それらは彼女のアトリエを構成している数々の石やガラス、貝殻、アンティークの家具といった収集物や、彼女自身が製作した民族衣装風のオールインワンの服からも読み取れる。美意識は個々人で異なって構わないし、収集したものに意味を見出すのも、方法は何だって良いはずだ。2017/11/24