岩波新書<br> 戦争をよむ70冊の小説案内

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岩波新書
戦争をよむ70冊の小説案内

  • 著者名:中川成美
  • 価格 ¥836(本体¥760)
  • 岩波書店(2018/01発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004316701

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内容説明

克明な心理描写をまじえて戦争と人間の真実に分け入る小説作品は,戦争のリアルを伝える大切な語り部だ.物語のなかに封じ込められた,戦時下を生きる人びとの細やかな感覚と日々の葛藤と苦しみ,そして悲しみ.記憶の風化とともに失われていく,かつての時代の手がかりを求めて,戦争の文学を再読する.

目次

目  次
   まえがき 文学は戦争とともに歩んだ

 第1章 戦時風景

 1 徳田秋声『戦時風景』

 2 火野葦平『麦と兵隊』

 3 小林信彦『ぼくたちの好きな戦争』

 4 富士正晴『帝国軍隊に於ける学習・序』

 5 大岡昇平『野火』

 6 野間宏『顔の中の赤い月』

 7 ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』

 8 古処誠二『接近』

 9 江戸川乱歩『防空壕』

 10 大城立裕『日の果てから』

 11 梅崎春生『桜島』

 12 原民喜『夏の花』

 13 安部公房『変形の記録』

 第2章 女性たちの戦争

 1 壺井栄『二十四の瞳』

 2 角田光代『笹の舟で海をわたる』

 3 田村泰次郎『蝗』

 4 森三千代『新嘉坡の宿』

 5 高橋たか子『誘惑者』

 6 ベルンハルト・シュリンク『朗読者』

 7 宮田文子『ゲシュタポ』

 8 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』

 9 リリアン・ヘルマン『眠れない時代』

 10 大田洋子『ほたる』

 11 林芙美子『浮雲』

 12 池田みち子『無縁仏』

 第3章 植民地に起こった戦争は──

 1 藤森節子『少女たちの植民地──関東州の記憶から』

 2 吉田知子『満州は知らない』

 3 張赫宙『岩本志願兵』

 4 梶山季之『族譜』

 5 小田実『「アボジ」を踏む』

 6 中村地平『霧の蕃社』

 7 モーナノン『僕らの名前を返せ/燃やせ』

 8 バオ・ニン『戦争の悲しみ』

 9 ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』

 10 多和田葉子『旅をする裸の眼』

 第4章 周縁に生きる

 1 小林多喜二『転形期の人々』

 2 佐多稲子『キャラメル工場から』

 3 徳田秋声『勲章』

 4 松本清張『遠い接近』

 5 児玉隆也『一銭五厘たちの横丁』

 6 北杜夫『輝ける碧き空の下で』

 7 カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』

 8 安本末子『にあんちゃん』

 9 東峰夫『オキナワの少年』

 10 永山則夫『無知の涙』

 11 フェデリコ・ガルシーア・ロルカ『ジプシー歌集』

 第5章 戦争責任を問う

 1 ドルトン・トランボ『ジョニーは戦場へ行った』

 2 アーネスト・ヘミングウェイ『兵士の故郷』

 3 石川淳『マルスの歌』

 4 山田風太郎『戦中派不戦日記』

 5 竹内浩三『戦死やあわれ』

 6 坂口安吾『戦争論』

 7 平林たい子『盲中国兵』

 8 中野重治『五勺の酒』

 9 後藤みな子『炭塵のふる町』

 10 結城昌治『軍旗はためく下に』

 11 ノーマ・フィールド『天皇の逝く国で』

 12 パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』

 13 ボリス・シリュルニク『憎むのでもなく、許すのでもなく』

 終 章 いまここにある戦争

 1 ジョージ・オーウェル『一九八四年』

 2 目取真俊『水滴』

 3 パスカル・メルシエ『リスボンへの夜行列車』

 4 シリン・ネザマフィ『白い紙/サラム』

 5 ヤスミナ・カドラ『カブールの燕たち』

 6 リービ英雄『千々にくだけて』

 7 ミシェル・ウエルベック『服従』

 8 高野悦子『二十歳の原点』

 9 笙野頼子『姫と戦争と「庭の雀」』

 10 伊藤計劃『虐殺器官』

 11 津島佑子『半減期を祝って』
   ブックリスト
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

82
父親に「お前、ダルトン・トランボを知っているか?」と尋ねられ、「知っている。『ローマの休日』や『ジョニーは戦争に行った』を書いた人だけど」と答えると「この面白い本にトランボの事が書かれていてよ~」とお勧めされた本。戦争を描いた作品だけではなく、海外の作品、やがては戦争に行き着くだろう社会問題を取り上げた作品、古処誠二作品や『服従』、『虐殺器官』までの最近の作品までも幅広く、紹介されています。後、父は「この作者は書き方から女性だと思うのだが、どうなんだろう・・・」と首を捻っていました。2017/11/16

ころりんぱ

50
終戦から70年余り、日本は戦争をすることなく今に至っている。一方世界では日々どこかで戦争が起こり傷ついている人がいる。身近に何かが起きるまでは他人事。だけどいざ起こったら否応なく巻き込まれ例外なく当事者になる。多分当時の日本人も、まさか、こんなはずでは、そんな馬鹿な、仕方ない、と思いながら戦時を過ごしたんじゃないかと思う。この本で紹介されている70作品は幅広くて、解説もわかりやすく著者のメッセージが強く反映されている。読みたい本が増えた。2018/10/06

Nobuko Hashimoto

25
京都新聞に連載されていた書評をベースに編まれた文学紹介の新書。一篇ずつがそれぞれ濃くて、いずれも読まなくては、読みたい、と思わせるものばかり。特に気になったものを自分用の備忘録としてブログりました。https://chekosan.exblog.jp/33611521/ ジョン・オカダ『ノーノー・ボーイ』高橋たか子『誘惑者』宮田文子『ゲシュタポ』リリアン・ヘルマン『眠れない時代』大田洋子『ほたる』松本清張『遠い接近』児玉隆也『一銭五厘たちの横丁』パトリック・モディアノ『1941年。パリの尋ね人』 2023/12/27

浅香山三郎

20
本書のまえがき「文学は戦争とともに歩んだ」には、「直線的な戦争批判」だけではなく、幅広い文学のジャンルを対象として、「文学と戦争の関係を想像力を拠りどころとして再構築」する試みが表明されてゐる。戦争自体や戦時を扱ふ作品以外に、植民地といふ制度や、〈帝国〉としての日本の社会経済構造、そして戦後と戦争責任迄、戦争にかかはる問題を取り上げることはまさに近代といふシステムそのものを問ふことだといふのがわかる。終章「いまここにある戦争」は、『1984年』から『半減期を祝って』に至るが、為政者が自在に振る舞う↓2018/03/27

Cinejazz

15
戦争体験者が年々減少し、戦争の忌わしい記憶が風化されつつあるなかで、「忘れられた物語(記憶)―戦争の文学再読」として新聞に連載された70冊の小説の読書案内。日本の無条件降伏後にシベリア抑留で強制労働を強いられ、生還できた父の体験談は今も耳にこびりついて離れないが、本書70冊のうち既読本は1/10冊のみ。 結城昌治の『軍旗はためく下に』、T.オブライエンの『本当の戦争の話をしよう』、S.アレクシェ-ヴィッチの『戦争は女の顔をしていない』に読欲をそそられる。2021/08/10

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