幻冬舎単行本 野村のイチロー論

著者名：野村克也【著】

幻冬舎（2018/01発売）

• ISBN：9784344032385

内容説明

正直に言う。私はイチローが好きではない。
しかし、彼の才能に最初に目をつけたのはこの俺だ。
名将がはじめて書いた　天才イチローvs凡人野村　究極の野球人間論

【もくじ】
第1章　イチローは本当に天才なのか　イチローのバッティングを分析する
天才とは何か／選球眼ならぬ「選球体」／変化球を待ちながらストレートを打つ／
つまらせるのも技術のうち？／イチロー・ルーティーンに意味はあるのか？／努力の天才　ほか

第2章　イチローと私
「ええ選手やな……」／首脳陣に否定された“振り子打法”／「お手上げです」／
イチロー攻略法はあるのか／もしイチローがヤクルトに来ていたら……　ほか

第3章　イチローがメジャーに与えた衝撃
海を渡ったはじめてのバッター／スモール・ベールボールの復権／
ワンバウンドをファールして、「もらった！」／“持っている”男　ほか

第4章　イチローの「言葉」を読み解く
「結果はあとからついてくるという感覚は、たぶん持てないだろうし、持ちたくもない」
「楽しんでやれとよく言われますが、僕にはその意味がわかりません」
「僕のなかのスランプの定義というのは、感覚をつかんでいないことです」
「初心を忘れないことっていうのは大事ですが、初心でプレーしてはいけないのです」　ほか

第5章　イチローはONを超えたのか？
首位打者に左バッターが多い理由／イチローが憧れた天才／二代目ONの器だった松井／
攻・走・守　すべて超一流はイチローだけ／“人の気”をつかめなかった落合／イチローはONを超えたのか　ほか

第6章　イチローは変わったか
イチローを認めなかった私／フォアボールはつまらない／チームで浮いていたイチロー／
マスコミ軽視はファン軽視／原因は仰木に甘やかされたこと／WBCで変わったイチロー　ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[かずー]

ノムさんが分析したイチローを語る。イチローのことは嫌いであるが出版社の依頼で執筆に至る。天才バッターの定義から始まり、メジャーに与えた影響、イチローの発言を分析、イチローの変化を丁寧に分析している。ノムさんの分析は説得力があり、納得できる部分が多い。教え子たちが活躍しているのも納得である。野球は個人プレーじゃなくチームのために貢献する、マスコミに対する姿勢がイチローに不足している。私が感じたイチローの嫌な部分は正にそこである、納得。

2020/12/17

[ひよこ]

技術認める、しかしヒットを打てばチームの勝ち負けはどうでもよいという姿勢が嫌いだった、とのこと。伝聞を根拠に否定してるっぽい箇所が見受けられたが、ノムさんにはそう映ったらしい。真意はわからないけど、本当だったら確かにダメだよね。でも、イチメーターのエイミーさんとの関係を見てると、イチローはイチローなりの考え方に基づいてファンサービスやチーム貢献をしていたんじゃないかな。この本はいつものノムさんのボヤキだと捉えたほうがよさそうだ。技術面の解説はなるほど思った。素人の僕にも分かりやすい。

2019/07/15

[Hammer.w]

ノムさんが亡くなってから読んだ一冊目。"小事に気づき、大切にすることかま「大事」を生む"。イチローは目を使うようになった時期はスランプだったらしい。バッティングでの常識だが、動き出しが遅くなることにある時気づき脱した。ノムさんは目を凝らし、ピッチャーのクセを見抜く。些細な違いだが、配球が分かってくる。天才の角度を変えて見る良書です。

2020/03/06

[マッちゃま]

まさにノムさんのイチロー論。正直ノムさんとイチローの接点って少なくない？って思ってました。そんなんで論じるのもどうよ的にも思いつつ本書を手に取りましたが、いやコレお見事なイチロー論。元プロ野球選手目線を素人にも分かり易く記述する術を持つノムさんならではのイチロー論が展開されます。野球選手としては偉大な人だとは思うけど、実績の割に僕の評価は比例してないのは、こういう部分なんだろなと。ただ本書が書かれた時期は晩年とはいえイチローも現役時代。此方にも書かれておりますが、今後のイチローの生き様にも注目です。

2021/08/28

[TakaUP48]

イチローの「選球眼より選球体が重要」は、身体が自然に反応する高度技術だ。イチローがＭＬＢに入ったことにより、野球の原点を思い出させスモール・ベースボールが復活した。イチローの注目すべき言葉｢パワーよりも、自分の『形』を持たないといけない｣「結果ではなく､プロセスでの自分がどうだったかが重要」日本のプロ野球にも歴代の名バッターは何人もいるが、攻・走・守のすべて超一流はイチローだけ。個人タイトル・記録に活躍をしてきたイチローだが、第２回ＷＢＣでチームのためにという意識もより持つようになったのでは？という。

2019/04/02