内容説明
1970年、遠かったアメリカを誰よりもフレッシュな感性と軽妙な語り口で綴った代表作。映画、小説、音楽はもちろん、風俗から政治まで、膨大な知識と貪欲な好奇心で語りつくす。本格的な著作としては、初期にありながら既にJ・Jの世界観を確立した1冊。刊行から40年以上たつ今も全く古びることのない、まさにサブカルチャーの教科書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
30
植草甚一の本を本格的に読むのはこれが初めて。上の世代が熱狂的に「ぼくらのJ・J!」と語るのを知り、いずれは……と思っていたのだけれど、今読むと軽快なフットワークと柔軟な感性、アメリカの風俗のみならず政治に関しても果敢に発言する知性と勇敢さが凄いと思う。趣味人としての植草は知っているつもりでいたのだけれど、こういう戦うコラムニストだったとは(ナット・ヘントフや小林信彦のような……違うか)。その路線から彼の著作や足取りを追い掛け直すのも一興かと思わされた。話題は古びたが書かれている筆致のヴィヴィッドさは新鮮だ2019/11/11
michel
24
★4.3。JJおじさん、ほんとにかっこいい!こんな男と居たら視野が広がるし、日常が色濃くなるだろうなー。2019/04/26
k.m.joe
12
「雑学」とは、非日常な事物を日常的に語る事ではないかと本書を読みながら思った。そして、「散歩」とは、足の向くまま気の向くまま楽しみを探してゆく、植草さんの姿勢、そして文章そのままだと思う。2014/02/24
Saku
9
ヒッピー文化、ヒップとスクエアの話から始まってアメリカ小説や映画の話まで。この時点ではジャズに関する話が出てきていなかったけれども、黒人文化の話しは見られていた。植草甚一の目で語るアメリカ文化はとっても魅力的。2014/08/24
Kepeta
8
この読書知識に基づくコラージュ的な話題展開ぶりは、アメリカサブカル版澁澤龍彦といった印象です。話があちこちに飛ぶわ話し言葉に近い文体だわで、物知りな伯父さんの酒飲み話を聞いているような読書体験でした。 しかしこの人・この内容が70年代にブームになったというのは、当時の若者がいかに西洋(米国)文化に飢えていたか、いかに知的好奇心のベースラインが高かったかを窺わせます。あの時代・年齢でこの「軽さ」は驚異的ですが、意外と人種・人権に絡む問題に踏み込んだ話が多かったのには、芯にある反骨精神を感じました。2023/11/02