内容説明
夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
91
私は、ノーラが自分の母だったら嫌だなと思う。 だからだろうか、中盤くらいから、読んでいてため息が出てきた。物事は見方ひとつでもう少し良くもなるのに。ほかの女性を見る時の視線も素直でなく思える。そして、作者は男性なのか…。2018/02/10
NAO
74
夫に先立たれた女性が自分らしく生き始めるまでが描かれている。元来愛想がよいほうではなく、寡黙だがときには強硬な姿勢を見せ家族を戸惑わせるノーラにとって、狭い田舎町暮らしは何かと生きにくい。夫が亡くなってから、ノーラは、家族みんなに疎まれているように感じ、ひどく孤独を感じることがある。だが、愛する人を亡くしたことで傷つき家族が一人欠けた生活に慣れることができず戸惑っているのはノーラだけではない。ノーラと4人の子どもたちの3年間は、暗く長いトンネルの中のようだ。だが、そんな彼らも徐々に落ち着きを取り戻し、⇒2021/10/25
naoっぴ
69
じっくりと読ませる物語だった。46歳で夫に先立たれ、どう日々を過ごしていこうかと試行錯誤する等身大の女性の姿。わが子との向き合い方、母でも妻でもないひとりの人間としての自分と世間の目との間にある葛藤など、ノーラの感じたことは私の中にもあると気づかされ何度もページが止まる。丁寧に綴られる日常を背景に、“夫の横にいる妻”から踏み出し、新しい自分を見いだしていくノーラの心の自立に深く共感した。ノーラの心の奥には手に負えないほど多くの悲しみが積もっていたのだろうな。いつまでも読んでいたい本だった。2019/06/21
星落秋風五丈原
38
著者の『ブルックリン』を「朝の連続ドラマ」と評したが、こちらもやはり朝の連ドラ向き題材だ。「誰々の妻」という肩書きでしか誰も自分を見ていなかった日常が、いきなり何もかも自分が先に立って決めなければならない日々になる。きちんと切り替えて、周囲からもその判断を褒められるソフトランディングなドラマにせず、どうしても自分の物差しで相手を判断しがちになり、言葉に出てこない相手の思惑まで考え込んで、余計な気をもんだりするノ―ラのより道迷い道行きどまりの三年間が綴られる。2017/12/23
ヘラジカ
38
今年2冊目のコルム・トビーン。陳腐な言い方をすると「夫を亡くした女性の第二の人生」を描いた小説。聡明だが自己主張のないノーラ・ウェブスターが、最愛の伴侶の死後に出来た大きな空白を、自分自身の物語で満たしていく。『ブラックウォーター灯台船』はシンプルで研ぎ澄まされた簡素な小説だったが、こちらは豊満で読み応えもある。だからと言ってあの鋭利さは失われていない。滑らかだからとうっかりしていたら終盤で怪我をしそうになった。今年出版された新潮クレストブックスの中では1、2を争うくらいの小説。(2017・78)2017/12/01
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