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内容説明
傭兵ではなく自前の軍隊をもち、人民を味方につけ、時には道徳的な悪をもためらわない。フィレンツェ共和国の官僚で外交軍事の実務を担ったマキャヴェッリが、君主に必要な力量(徳)を示し、キリスト教的モラルから脱却した新しい君主像を提言した主著。マキャヴェッリのいうリアリズムとは現状追随ではなく、理想を実現するためにリアリストに徹するということである。近代政治学における最重要古典。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
80
今までマキャベリの『君主論』については、帝王学を学ぶような人だけのための書だと勘違いしてました。読んでみると人の心に知るがためのしなやかな思考を促す書だったんですね。そして「名を捨てて実を取る」や「民衆を味方につけろ。ただし、恐怖で支配するな。舐められ過ぎても良くない。自己利益ではなく、人々のために金を使え」、「一番、信頼ならないと思う者程、役に立つ」がこの時代に登場していたとは。しかし、ルネサンスの歴史上人物が例として登場しても『トリニティ・ブラッド』か『アサシン・クリード』しか思い浮かばん・・・orz2017/12/26
molysk
34
マキャヴェッリは、ルネサンス期イタリアの政治思想家。本書は、フィレンツェのメディチ家に献上された冊子で、新しい君主像について論ずる。まず、様々な君主政体について、権力をいかに獲得して保持するかの方法論。次に、軍隊について、傭兵や他国の援軍に頼るのではなく、自前で準備すべきとの主張。最後に、君主の政治的・軍事的力量をキリスト教的モラルから切り離して、人民を味方につけるためには、悪徳の汚名すら甘受すべきと説く。政教未分離の中世から、宗教改革、宗教戦争、フランス革命へと、歴史は本書の主張する方向へ進んでいく。2019/12/28
かわうそ
31
運で地位に成り上がった人は技量がなければすぐさま衰えていく。逆に技量がある人は憎悪されることを避けて、一定程度恐れられることが出来れば長い間その地位の恩恵に預ることができる。さらには、慎重派の人よりも勢いまかせの方がまだ成功しやすいのは慎重な人は時代の流れに身を任すことが出来ないからである。というのも慎重な人は時代の変化に従って自らを素早く変化させることが出来ないからである。それ故にある意味で日和見主義的な要素がなければ成功者にはなれないということになる。2022/04/17
羊山羊
18
もし、人生で初めて古典をと言われてぱっとおススメできるとしたら本著かなと、そう思わせてくれる凄い1冊だった。古代ローマと都市国家ベネチア、イタリア全土を元に鮮やかに展開される、徹底的に現実を見つめるそのリーダーシップ論は語り口が圧倒的に分かりやすいうえに現代にそのまま生かせるユニークな指摘に満ちている。また、よく言われるマキャベリズムがイメージによくある悪・力のイメージではなく現実を見た結果、悪や力に頼ることもあるよね、というリアリズムが根底にある事にも気づかされる。大満足、おススメ!2021/03/18
ころこ
15
外交業務の書記官で、エリートで無かったマキャベリは、ソデリーニに抜擢されて重要な任につきます。ところが、ソデリーニが失脚してフィレンツェが再びメディチ家の支配下に置かれると、親ソデリーニ派として投獄されます。投獄中、君主の交代により運良く恩赦を受けて以後隠遁の身となり、復活を夢見て権力者へのアピールとして本書を書きます。他方、外務省のノンキャリで、鈴木宗男に抜擢され、国策捜査で転落・投獄。現在マスメディアで活躍中の佐藤優は、マキャベリと重なるところが多いように思います。本書が特徴的なのは、実務家が経験を理2017/10/22




