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内容説明
すべての哲学はカントに流れ入り、カントから再び流れ出す。人間理性の限界を精査し、またその全射程を見定めようとしたカント。認識の構造を解明した『純粋理性批判』、道徳の世界を確立した『実践理性批判』、批判哲学完成の書『判断力批判』から、最晩年の問題作『オプス・ポストムム』まで。哲学史2千年を根源から改革した独創的作品群を、その生涯とともに見渡す待望の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
15
カントは自己の思想を、私はなにを知りうるか、私はなにをすべきか、私はなにを希望してよいか、人間とはなにか、の4つに対応するものだと考えた。第一の問いは理性の限界を探る「純粋理性批判」が、第二第四の問いは「実践理性批判」「人倫の形而上学」が、第三の問いは「もっぱら理性の境界内での宗教」が答えとなっている。カントの遺作は集大成として思想を体系化したものを予定していたようである。解説が付いているとはいえ、非常に難解で一度読んだだけでは内容を把握しきれない。少なくとも道徳論は読んでみたい。2015/06/10
Happy Like a Honeybee
7
入門書でもすら難解である。 入山するにも険しい、カントと言う山脈。 山にもたくさんのルートがあるように、正面から攻めるかサイドから攻めるかその人次第。 一度で理解出るほど甘くない。 外的感覚対象としての自然。内的感覚対象としての心。 2018/10/19
hakootoko
6
具体的な知識を重要視したこと。抽象的な思考も具体的な知識のためにあること。体系なくして経験なし。実践なくして体系の意義なし。理性を人類のために用いること。自己の完全性と他人の幸福のために生きること。2020/11/09
富士さん
2
科学方法論ではこの人からは逃れられないようなので、しょうがなく再読。入門書をいろいろ眺めてみたのですが、これが一番分かりよい。カント大先生のような訳の分からない人は簡単にすると余計に訳分からなくなるようです。この人は、分析と綜合、機械論と目的論、帰納と演繹のような対立する方法を後者よりの点で止揚しようとしたのかなぁ、とざっくり理解しました。その点、著者が「視霊者の夢」への注目を促しているのは慧眼だと思います。カント大先生の問題意識は神秘主義と学問が未分化だった、時代の精神が反映しているように思うからです。2017/03/21
毒モナカジャンボ
1
哲学史上これほど「〇〇は古い、〇〇を乗り越えろ」と言われ続けている哲学者がいただろうか。異常に面倒な接続詞と学術用語の使い方により多くの人間を挫折させ、それでもたどり着いたものに待つのはクソウザい説教じみた自由と道徳に関する超越論的論証である。『純粋理性批判』での明晰さは神を入れると曇る。イギリスの商人と終生友人だったのは意外だが、やはり都市生まれで一生そこから動かず、一次情報にほとんど触れずに自然地理学や人間学の講釈を垂れていた人間の人間観はナイーブに過ぎるように思う。まあキリスト教が悪いっちゃあ悪い。2020/01/31
