内容説明
独自の戦略観をもちながら不本意な戦争を戦う宿命に苦しんだ真珠湾攻撃の指揮者・山本五十六。情の深さゆえに悲劇の海軍大将ともいわれるその生涯を、故郷・長岡人気質と絡めて綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
95
「狂いはじめた歯車は、元に戻らぬどころか、より主観的な、独善的な方向へ方向へと狂ってまわっていく(p303)」とあります。もうこなったらどうすれば良いのでしょうか。山本五十六はキレるしかなかったのでしょうか?分かりません。しかし、それでは彼はどうすれば良かったのでしょうか?彼は辞任すべきだったとの記載がありますが、広田弘毅が「辞任しても戦争賛成派が後釜に入るだけ」と東条英機を諭したことと同じことが起こるのでしょうか。これホント難しいです。2017/11/15
ehirano1
82
ミッドウエイ開戦敗北は沈没した伊124号潜水艦から日本海軍の情報が・・・という推理はどこかで小説になっていそうですが、あったら是非触れてみたいと思いました(なんかあったような気が・・・思い出せません、残念)。なんせ、米海軍がミッドウエイにおける日本海軍の作戦を読んでいたという情報は将来にわたっても公式に発表されないとのことですので。2018/08/11
ehirano1
81
山本五十六はブチ切れたんですね。井上成美はこれを厳しく批判し、著者もまたそれに同感を示します。そして当方もこれまた同感。しかし一方、名将をここまでキレさせるくらい当時の状況は酷かったのだと推測しました。また、「成功体験への固執」は一国を滅ぼす寸前までもっていく力があることに改めて驚愕させられました。2017/04/16
esop
67
情けの人でありながら悪く言えば偏狭我執、人見知りする面が強かった/すべては短期決戦→戦争終結のためのもの/辛苦はわれわれ一代だけで十分ではないか。同じ苦しみを孫子にさせるようなことがあっては、なんのために国家敗亡の悲惨を味わったかわからない。/内乱で国は滅びない。が、戦争では国が滅びる。内覧を避けるために戦争に賭けるとは主客転倒もはなはだしい/それはどうしても私にやれといわれれば、一年や一年半は存分に暴れてご覧にいれます。しかし、その先のことは全く保証できかねます/戦闘の要訣は先制と集中にあり2024/10/12
ehirano1
58
ニミッツの凄さに感嘆させられます。当に「大胆かつ繊細」を具現化した人物ですね。驚くべきは、日本海軍だけではなく山本五十六を筆頭に司令官クラスの人となりや癖までを詳細な研究により熟知し、それに応じた戦略を練った、とのことです。孫子の「彼を知りて己を知らば・・・」ですね。本書は戦争ですが、これはビジネスにも十分応用できることだと思います。例えば、山本五十六の項からは、「決してキレてはいけないこと」、ニミッツからは「孫子の兵法の有益さ」を活かせるのではないかと思いました。2017/09/16