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内容説明
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エロティカの聖典として名高い『わが秘密の生涯』。十九世紀ヴィクトリア朝時代に出版された本書の作者は、いまだ謎のままである。作者の正体をめぐる論争が長く続いてきたが、近年、アシュビー説が有力となっている。アシュビーは、『ドン・キホーテ』などのブック・コレクターで、その膨大で貴重な蔵書は、大英博物館に収められるほどだった。はたして、彼は本当の作者なのか?ジェントルマンのもう一つの素顔とは。
目次
はじめに-『わが秘密の生涯』の作者とは
第1章 ヘンリー・スペンサー・アシュビーの二つの顔
第2章 エロティカ蒐集と書誌づくり
第3章 アシュビーを取り巻く人々
第4章 ヴィクトリア時代のもう一つの姿
第5章 なぜ『わが秘密の生涯』を書いたのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
5
著者が好きだし、こういうタイトルは普段手に取らないような人が読むように・・・というだけで、内容は別にエロチックじゃないんでしょ、にしても借りにくいんだよなぁ・・・・なぁんて思いながら読んでみました。ああ、読んでいて吐き気がしてきます。なにこのどストレートな卑猥さは!『チャタレー』くらいなものだろう、と思っていたのでかなり驚きました。かなりきわどいので、あんまりお勧めはしません。(と言いつつも、講義に役立つ内容が載っていたり・・)2011/05/02
dilettante_k
4
2010年刊。ヴィクトリア朝末期にごく小部数が出版された長大なエロティカ『わが秘密の生涯』。その著者と推定されるヘンリー・スペンサー・アシュビーの生涯にわたる精力的なエロティカ蒐集行や探検家バートン、詩人スウィンバーンら彼を取り巻くサークルの面々、そして『ファニー・ヒル』など同時代のエロティカ出版事情を辿り、大英帝国の中枢をなしたアッパーミドルの男たちの「性態」を素描する。邦訳文献への辛辣な態度など、主観がやや色濃い一方、膨大なエロティカに接した疲労感も漂う。性のまなざしを強調した階級論としても面白い。2016/03/13
rbyawa
4
a134、タイトルに吊られて思わず買った人も若干いたようだが、まあこれは正直、開いた時点で誤解はすぐに晴れるよね。お堅いイメージのあるヴィクトリア朝時代の「裏の顔」、エロティシズムの話を一冊の作者不詳の本から語り出す、という体裁なのだが、そもそもこの人の本には結構ゴシップ部分が出てくるが、やっぱりざくざくした語り口調のせいかあっさりしているw 歴史好きやエッセイ好きな人のほうが本来の読者じゃないかなぁ。それにしても、当時のエロスはなんか真摯で生真面目だなぁw 案外そこがいいのかもしれないが。2010/10/13
春風
4
エロ本収集に生涯を費やしたりエロ小説を書いたりしたヴィクトリア朝変態紳士たちを半ば呆れつつ活写。上流階級の子弟はみんな家庭や学校で鞭打ちを経験するためイギリス紳士は鞭打ちプレイが大好きらしい。2010/07/29
misui
3
ヴィクトリア時代のエロ本(エロティカ)『わが秘密の生涯』の作者として有力な候補であるヘンリー・スペンサー・アシュビーを中心に当時のコレクター事情や性風俗について。アシュビー周辺の人物としてアラビアンナイトの翻訳者バートンや詩人スウィンバーンらが紹介されており、またアシュビーもエロティカ以外にセルバンテス関連の蒐集家であったなど、エロが文化の強力な原動力のひとつであった様がわかる。わかるんだけど、4200ページあるエロ本をさほど公開の意図もなく趣味で書いたかもしれないって考えるとくらくらするな。2020/05/15